帰去来辞(読み)キキョライノジ(英語表記)Gui-qu-lai ci

デジタル大辞泉 「帰去来辞」の意味・読み・例文・類語

ききょらいのじ【帰去来辞】

陶淵明作の文。5世紀初頭の成立。官を辞して帰郷し、自然を友とする田園生活に生きようとする決意を述べたもの。

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精選版 日本国語大辞典 「帰去来辞」の意味・読み・例文・類語

ききょらいのじ【帰去来辞】

  1. 中国の辞。晉の陶淵明作。四〇五年頃成立。全編二四〇余字(六〇句)に韻を押し、官を辞して帰郷する決意と喜び、自然を友とする田園生活の自由な心境がうたわれている。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「帰去来辞」の意味・わかりやすい解説

帰去来辞
ききょらいのじ
Gui-qu-lai ci

中国,東晋末~宋初の詩人陶淵明の散文作品。義煕1 (405) 年成立。官位を捨て故郷の田園に帰る心境を述べる。4段に分れ,それぞれ異なる脚韻をふむ。第1段は官吏生活をやめ田園に帰る心境を精神の解放として述べ,第2段はなつかしい故郷の家に帰り着き,わが子に迎えられた喜び,第3段は世俗への絶縁宣言をこめた田園生活の楽しさを,第4段は自然の摂理のままに終りの日まで生の道を歩もうという気持をうたいあげている。天下国家に対する志と世俗の塵に合わぬ性格との矛盾に苦しんだ作者が,苦悩の末に隠遁の道を選んだ心の屈折を,楚辞の体にならいながら,高い格調で表現している。陶淵明の代表作であると同時に,六朝散文文学の最高傑作の一つとして,後世に与えた影響は大きい。

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旺文社世界史事典 三訂版 「帰去来辞」の解説

帰去来辞
ききょらいのじ

東晋の詩人陶淵明の名文
つねに偽善的な役人生活を嫌った彼が,彭沢 (ほうたく) (江西省)の県令となったとき,郡の長官が彼に束帯を着けて面謁 (めんえつ) せよといったのに憤慨即日辞職して帰郷したことを記した文。「帰去来兮」(帰りなんいざ)という冒頭の句は有名で,六朝第一の名文といわれる。

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