常宮神社(読み)じようぐうじんじや

日本歴史地名大系 「常宮神社」の解説

常宮神社
じようぐうじんじや

[現在地名]敦賀市常宮 西ノ前

常宮集落の南端、海に面して鎮座する。境内四千四五五坪。祭神本殿に神功皇后・仲哀天皇天八百万比あめのやおよろずひめ尊、東殿に日本武やまとたける尊、惣社に応神天皇・気比けひ大神、平殿に玉妃命、西殿に武内宿禰を祀る。明治維新前は常宮大権現と称し、気比神宮(現敦賀市)の奥宮であった。明治九年(一八七六)気比神宮から独立した。旧県社。「延喜式」神名帳の敦賀つるが郡の一座に「天八百万比アメヤホヨロツヒメノ神社」があり、当社に比定される。「敦賀神社考」は「天国津彦あめくにつひこの神社 式内、天国津比あめくにつひめの神社 式内、天鈴あめすヽの神社 式内 以上三社並ニ坐于常宮社内」としている。以上の四神は「文徳実録」斉衡三年(八五六)九月一七日条に「越前国天八百万比神、天国津比神、天国津彦神、天鈴神、(中略)並預於官社」とあり、同二八日条によれば、天八百万比には従四位下、天国津比神・天国津彦神・天鈴神には従五位下が授けられている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「常宮神社」の意味・わかりやすい解説

常宮神社
つねのみやじんじゃ

福井県敦賀市にある神社。旧県社。『延喜式神名帳』には天八百万比 咩神社とあり,アメノヤオヨロズヒメを祀ったことが知られる。常宮権現,常宮御前とも呼び,『文徳実録』によれば,斉衡3 (856) 年9月に官社に列せられている。また気比神宮の奥宮ともされ,境外摂社として祭祀が行われてきたともいう。氏子区内に産屋が現存し,産婦はここでお産し,30日間静養する風習がある。豊臣秀吉が文録の役に際し戦勝祈願を行なったことで知られ,凱旋のおりに朝鮮からもたらして奉納した慶州蓮池寺の新羅鐘を所蔵し,国宝に指定されている。

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世界大百科事典(旧版)内の常宮神社の言及

【気比神宮】より

…例祭は9月4日で,2日の宵祭から15日の月次祭まで続くので気比の長祭とよばれる。7月22日の総参祭には摂社の常宮(じようぐう)神社への海上渡御がある。なお,神宮寺は715年(霊亀1)の建立で,記録に残る神宮寺のうちで最も古いものの一つである。…

【敦賀湾】より

…国道8号線の通る東浦に対し,西浦は陸の孤島といわれたが,浦底に日本原電敦賀発電所が立地して道路は著しく改善された。しかし,産屋(うぶや)など古い習俗は急速に失われ,半農半漁村で,神功皇后を祭る常宮神社(秀吉の戦利品という新羅王の銘のある国宝朝鮮鐘をもつ)がある常宮などは民宿村に一変した。【島田 正彦】。…

※「常宮神社」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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