常灯(読み)じょうとう

精選版 日本国語大辞典 「常灯」の意味・読み・例文・類語

じょう‐とう ジャウ‥【常灯】

〘名〙
神仏の前にいつも点灯しておく火。みあかし。常灯明。長明灯。定灯。
※宇津保(970‐999頃)藤原の君「比叡の中堂に、しゃうとうを奉り給」
太平記(14C後)五「山門根本中堂の内陣へ山鳩一番飛び来て、新常燈(じゃうトウ)の油錠(あぶらつき)の中に飛入て」
② 江戸時代、千貫目以上の長者金蔵(かねぐら)に点灯した常夜灯
※俳諧・西鶴大矢数(1681)第二六「高野遠し其外爰にも難波寺 末世の奇特常灯の影」
街路つじなどに夜の間点灯しておくあかり街灯
花柳春話(1878‐79)〈織田純一郎訳〉一「子是れより左に路を取らば必ず常燈あり」

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デジタル大辞泉 「常灯」の意味・読み・例文・類語

じょう‐とう〔ジヤウ‐〕【常灯】

神仏の前に絶えずともしておく灯火。みあかし。常灯明
街路や辻などに終夜ともしておく灯火。常夜灯。

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改訂新版 世界大百科事典 「常灯」の意味・わかりやすい解説

常灯 (じょうとう)

神仏の前でともす灯明。常夜灯,長明灯,常明灯ともいう。経典では闇を照らすことから知恵にたとえられ,わずかな灯明を供養することにも限りない功徳があると説かれ,そこから不断の灯火をともす信仰が生まれた。著名なものに,最澄がともしたという比叡山根本中堂の〈不滅の法灯〉,高野山奥の院灯籠堂の白河上皇の〈白河灯〉や〈貧女の一灯〉(持経灯ともいう),広島県宮島の〈消えずの火〉などがある。民俗学的には,祖先の霊をまつる不滅の火が転じたとも考えられている。また,屋内屋外に夜間点灯するあかりも常灯という。
灯籠
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