年神をまつるために屋内に臨時に設ける神棚。年神棚,年徳棚,恵方(えほう)棚などとも呼び,その年の恵方に向けて年神の棚をつってまつる土地が多い。棚をやめてしまった所では,床の間あるいは神棚にお膳を供えてまつる。また米俵を祭壇としたり,年桶に米を盛り,その上に鏡餅を載せてまつる所が西日本の各地にあり,これなどは古い形と思われる。神供としては,白米,鏡餅が主であるが,その他に神酒,干柿,昆布,するめ,乾魚などを供える土地も多い。〈年神さまは正月14日夜にお帰りになる〉として,この夜に年棚を片づける土地もあるが,二十日正月(はつかしようがつ)をもってまつりおさめとする土地も多い。
→正月
執筆者:直江 広治
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
正月に屋内に設ける年神(歳神)の祭壇。年神棚、恵方(えほう)棚ともいう。常設の神棚を使う家も多いが、毎年つくり設けるのが古風である。細い板数枚を編んでその年の恵方に向けてつるす。天井から丸い棒でつるし、回転できるようにつくったものもある。年棚には注連縄(しめなわ)を張り灯明をつけ、お神酒(みき)や重(かさ)ね餅(もち)を供え、正月中は年男が雑煮などの料理をあげる。餅花、繭玉(まゆだま)、粟穂稗穂(あわぼひえぼ)などを飾ることもある。中国地方の日本海側などでは、納戸に米俵を置き、一斗枡(ます)に米やミカンなどの供え物を入れたものを年桶(としおけ)という。年棚とはいわないが年神を祭るための祭壇である。
[井之口章次]
…古くは1日の境は夕暮れどきにあったといわれるが,年越しの行事も多くは大晦日の夕方から始まる。すでにすす払いも終わり,しめ縄をも引き回した屋内に年神を迎え,年棚に神酒,餅,魚,野菜などを供えて,その前で家族揃って正式の食事をする所がかつては多かった。元日朝にはその神饌を下げて家族一同でいただくことによって年神の霊威が各人の身につき,新しい年を一つ加えることができると考えられていたのである。…
※「年棚」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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