繭玉(読み)マユダマ

デジタル大辞泉 「繭玉」の意味・読み・例文・類語

まゆ‐だま【繭玉】

柳などの枝に繭形にまるめた餅・団子などを数多くつけた、小正月飾り物。繭の出来を豊かにする予祝という。現在は形式化したものが社寺縁起物としても売られる。繭団子。まいだま。 新年「―のことしの運のしだれける/万太郎」→餅花もちばな

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精選版 日本国語大辞典 「繭玉」の意味・読み・例文・類語

まゆ‐だま【繭玉】

  1. 〘 名詞 〙 正月の飾り物の一つ。桑や赤芽柏(あかめがしわ)の枝に、繭のようにまるめた餠や団子を数多くつけ、小正月に飾るもの。その年の繭の収穫の多いことを祈って行なった。後には、葉のない柳や笹竹などの枝に、餠や菓子の玉をつけたり、七宝・宝船・千両箱・鯛・大福帳などをかたどった縁起物の飾りをつるしたりしたもの。神社などで売っているのを買って神だなや部屋に飾る。なりわい木。まゆだんご。《 季語・新年 》 〔物類称呼(1775)〕
    1. 繭玉〈守貞漫稿〉
      繭玉〈守貞漫稿〉

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改訂新版 世界大百科事典 「繭玉」の意味・わかりやすい解説

繭玉 (まゆだま)

繭の豊収を祈って作られる作り物の一種。柳やミズキなどの枝に繭の形にした餅やだんごを多数つけたもので,メーダマ繭餅繭だんごともいう。東北から関東,中部など東日本の養蚕地帯で盛んに作られた。普通は小正月に作るが,初午(はつうま)に再度作る所もある。繭玉のほか,養蚕道具をかたどった餅をつけたり,近年ではだんごや餅の代りせんべいで作った繭玉をつける所もあり,また正月に縁起物として繭玉を飾る商店もみられる。繭玉は,明治の養蚕奨励で普及したが,木綿が有力な作物であった地方などでは繭玉以前に木綿玉(もめんだま),綿だんごなどと称するものが作られていた。これは柳の枝などに綿の花や実の形のだんごをつけたものであった。明治以後は繭玉にとって代わられ,繭玉が餅花の総称となっている所も多い。繭玉は茶の間かまど神棚など屋内の各所に飾られるが,16~20日ころに下ろして食べる。これを養蚕仕事になぞらえて,繭玉かきとか繭玉練りという所もある。
餅花
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「繭玉」の意味・わかりやすい解説

繭玉
まゆだま

小(こ)正月の予祝行事の一つ。クワ、ミズキ、ヤナギ、カシ、エノキなどの枝に、繭形の団子や餅(もち)を数多くつけ、座敷、神棚、大黒柱その他に飾り付ける。繭形につくるのは養蚕が流行するようになってからで、本来は団子や餅をちぎってつけ、あるいは削掛(けずりかけ)や大判・小判など縁起のよいものを飾る。年頭にこのような形を示すことによって、秋に同様の豊作状態をもたらそうとする感染呪術(じゅじゅつ)に基づく。長野県あたりから関東・東北地方に広く分布する。団子は、「とんど」の火であぶって食べたりする。

[井之口章次]

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百科事典マイペディア 「繭玉」の意味・わかりやすい解説

繭玉【まゆだま】

繭団子,メーダマなどとも。ヤナギ,ミズキ,エノキなどの枝に繭の形に作った餅(もち)や団子をたくさんつけたもの。中部地方から関東,東北にみられ,養蚕の安全を祈って小正月に飾る所が多い。終わるとアズキと煮たり,どんど(左義長)の火であぶって食べる。
→関連項目大黒柱

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「繭玉」の意味・わかりやすい解説

繭玉
まゆだま

小正月または2月初午 (はつうま) の日に飾る餅花の一種。米の粉または餅を繭のように丸めて,柳,梅,桑,榎 (えのき) などの枝につけ,床の間や柱などに飾る。農作物の豊作を予祝する餅花が,養蚕と結びついて生れた農村の習俗で,蚕の成長と同時に農作物の順調な生育を祈願する意味が付されている。

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とっさの日本語便利帳 「繭玉」の解説

繭玉

木や竹の小枝に繭玉を模した紅白の玉や小判、宝船、サイコロ、大福帳などを賑やかに吊り下げた飾り物。新年の飾り物として売られ、破魔矢、熊手などと同じ縁起物の一つ。

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世界大百科事典(旧版)内の繭玉の言及

【初午】より

…稲荷神社としては京都の伏見稲荷大社や愛知の豊川稲荷が有名であるが,また各地には大小さまざまの稲荷があり,信仰を集めている。稲荷信仰とは別に,長野,山梨,埼玉などの養蚕地帯では,この日を養蚕祈願の日とし,蚕影様(こかげさま),オシラ様などの祭りをしたり,繭玉を作って屋内外の神に供えたりしているし,東北地方や東海地方には,馬(午)にちなんで蒼前様(そうぜんさま)や馬頭観音に参る所があるが,いずれも農事に関係したことである。近畿地方南部などでは,餅投げなど厄払いに関するいろいろな呪法が行われる。…

※「繭玉」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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