実際に音や声が出ていないのに音や声を聞くこと。自分に対する悪口や批判,命令の内容を持つ短いことばの人の声が多く,音などの要素的なものは少ない。声は耳だけでなく,頭や腹部にもきこえ,近くからも遠く宇宙からもきこえる。また声ははっきりときこえることもあれば,漠然ときこえることもあり,通常の声と同じこともあれば,人工的な声,機械を通した声であったりする。自分の考えていることが声になって聞こえてくるときは考想化声audition of thought,thought hearingといい,声としてよりも相手の考えが伝ってくると訴えるときは精神性幻覚という。幻聴に対して患者は不思議な,異様な感じをもつこともあるが(脳幹幻覚症のような脳の一部の障害による幻覚),多くは幻聴を信じ込んでおびえたり,怒ったり,耳をふさいだり,いわれるままに行動したりする。幻聴は統合失調症に多く,被害的内容のため患者を悩ますもので,考想化声は統合失調症に特徴的である。そのほか,アルコール依存症(アルコール幻覚症),覚醒剤中毒(幻覚・妄想状態),症状精神病にもみられる。
→幻覚
執筆者:保崎 秀夫
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…外部からの刺激を誤って知覚するときは錯覚といい,幻覚と区別している。幻覚は知覚の種類にしたがって幻聴,幻視,幻触,幻臭(嗅),幻味,体感幻覚などにわけられている。 幻聴は主として人の声が多く,自分に対する悪口,批判,命令の内容で,音が聞こえることはすくない。…
…街へ出ると,他人から変な目で見られ(注察妄想),あとをつけられ(追跡妄想),家では,食べものが変な味で(幻味),毒が入っていると思い(被毒妄想),食事をとらない(拒食)。自室にこもるようになるが(自閉),自分の悪口を言う声が聞こえ(幻聴),または自分の考えることが外から声として聞こえ(考想化声),自分のことが周囲に漏れていると感じ(考想伝播),動静がまわりの人にわかるのは部屋のどこかに盗聴器やカメラが仕掛けられているためと考える(説明妄想)。そのほか,行動が他人にあやつられ(させられ体験=作為体験),自分の考えが抜き取られ(思考奪取),他人の考えが吹き込まれる(思考吹入)と感じるなど,見えない相手に翻弄され,ときには興奮して突飛な行動に出たり,いっさいの自発性を失って昏迷状態に落ちこんだりする。…
※「幻聴」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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