精選版 日本国語大辞典 「船霊」の意味・読み・例文・類語
ふな‐だま【船霊・船魂・船玉】
- 〘 名詞 〙
- ① 船の守護神。古代から船乗りのあいだで信仰され、住吉の神、水天宮、金毘羅権現などを祭神とする。船玉明神。船霊神。船神。
- [初出の実例]「初遣二高麗国一船。名曰二能登一。帰朝之日。風波暴急。漂二蕩海中一。祈曰。幸頼二船霊一、平安到レ国。必請二朝廷一。酬以二錦冠一」(出典:続日本紀‐天平宝字七年(763)八月壬午)
- ② 漁船の守護神として信仰されている神霊。船中でまつるには、帆柱の受材である筒(つつ)の下部に夫婦雛・髱(かもじ)、賽(さい)二個などを神体として封入する。
- ③ 船そのものの称。江戸時代の廻船業者や船乗りのあいだでいう。
- [初出の実例]「則代り船玉吉日相撰、於兵庫表新造𦨞据追々造り立」(出典:九店仲間差配廻船史料(1856)新造船九店差配船え差加方願書)
- ④ ( 船の本尊の意から ) 女陰の異称。
- [初出の実例]「船に乗った様で恐いわいな。道理で船玉様が見へる。ヲヲのぞかんすないな」(出典:浄瑠璃・仮名手本忠臣蔵(1748)七)