康定(読み)こうてい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「康定」の意味・わかりやすい解説

康定
こうてい / カンティン

中国、四川(しせん)省中西部にある県級市。岷江(びんこう)支流大渡河(だいとが)水系の瀘河(ろが)に沿い、大雪(だいせつ)山脈南部の高原上に位置する。カンゼ・チベット族(蔵族)自治州の政府所在地。人口13万3799(2015)。南約50キロメートルにコンガ山(7556メートル)がある。別名打箭炉(だせんろ)。古くから西南諸民族の交易地で、今日も川蔵自動車道(成都(せいと)―ラサ)に沿い、四川盆地の茶、織物、チベット高原の毛皮などの集散地である。周辺での緬羊(めんよう)放牧による毛織物・皮革工場があるほか金も産出し、またじゃ香の特産地でもある。市中部に2008年開港の康定空港がある。「康定情歌」という民謡でも知られる。

[小野菊雄・編集部 2017年8月21日]

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改訂新版 世界大百科事典 「康定」の意味・わかりやすい解説

康定 (こうてい)
Kāng dìng

中国,四川省中西部の県。ダルドDardoともいう。人口10万(1994)。大渡河支流の峡谷に開けたガルツェ甘孜)チベット族自治州の州都。漢には旄牛(ぼうぎゆう),徙(し)県の域外であったが,唐以後チベットの馬と漢の茶の交易が盛んとなり発展した。1729年(雍正7)打箭炉(だせんろ)をおいたが,この地名は三国時代諸葛亮(孔明)が郭達を派遣,炉をすえて箭すなわち矢を作ったとする故事に由来するという。また達水,折水が集まる渚を意味する達折渚(チベット語でダルツェムド)がなまったともいう。1913年西康省康定県となり,1950年チベット族自治区康定県,さらに自治州に再編された。
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百科事典マイペディア 「康定」の意味・わかりやすい解説

康定【こうてい】

中国,四川省西部の都市。甘孜(かんし)チベット族自治州政府の所在地。標高約2500m。旧名ターチェンルー(打箭炉)。川蔵公路(成都〜ラサ間)に沿い,チベット東部への門戸をなし,薬材・毛皮などを移入,四川茶・布類などを移出するほか,製茶,織物などの手工業がある。民国時代(1928年―1949年)は西康省(現在の四川省西部とチベット自治区の東部)の省都であった。11万人(2014)。

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