張旭(読み)チョウキョク

デジタル大辞泉 「張旭」の意味・読み・例文・類語

ちょう‐きょく〔チヤウ‐〕【張旭】

中国盛唐書家。呉郡(江蘇省)の人。あざなは伯高。草書にすぐれ、書風は「狂草」といわれた。飲中八仙一人生没年未詳。

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精選版 日本国語大辞典 「張旭」の意味・読み・例文・類語

ちょう‐きょく チャウ‥【張旭】

中国唐の玄宗の頃の書家。字(あざな)は伯高。草書にすぐれ、その書は放逸率意で狂草と呼ばれた。酒を好み、奇行が多かったので張顛と称された。王羲之以来の伝統書風に革新を加え、後の懐素などに影響を与えた。楷書作品の「郎官石記」も有名。生没年未詳。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「張旭」の意味・わかりやすい解説

張旭
ちょうきょく

生没年不詳。中国、唐代の玄宗朝(8世紀前半)の書家。字(あざな)は伯高。呉郡(江蘇(こうそ)省)の人。左率府長史の官についたので張長史とよばれる。陸柬之(りくかんし)の子の陸彦遠(げんえん)から「柬之の書法」を授けられ、名妓(めいぎ)公孫大娘(こうそんたいじょう)が2本の長い布を空中に舞わせる踊りを見て、草書の何たるかを悟ったといわれる。また酒を好み、酔えば狂ったようになって下筆し、髪に墨をつけて書いたので、世に張顛(ちょうてん)と称された。当時、草書の第一人者として高名で、自由奔放な「狂草」を創始したとされる。顔真卿(がんしんけい)や李陽冰(りようひょう)に筆法を授け、懐素や高閑に影響を与えたと伝えられる。楷書(かいしょ)の作品に『郎官石記(ろうかんせきき)』があり、草書の作品として『自言帖(じげんじょう)』『古詩四帖』などが知られている。

[筒井茂徳]

『『書跡名品叢刊168 古詩四帖』(1971・二玄社)』『中田勇次郎編『書道芸術5 張旭他』(1972・中央公論社)』

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改訂新版 世界大百科事典 「張旭」の意味・わかりやすい解説

張旭 (ちょうきょく)
Zhāng Xù

中国,唐中期の書人。生没年不詳。字は伯高。左率府(そつぷ)長史になったので張長史と呼ばれる。呉郡(江蘇省)の人。長安李白賀知章,顔真卿らと交わり,酒に酔ったうえで非常に変化に富んだ草書(狂草と呼ぶ)を書いた(これを称して〈張顚〉という)というから,玄宗の開元・天宝時代(713-755)に活躍したことが知られる。一方また,彼は《郎官石記》にみられるような,非常に端正な楷書作品も残している。まったく謎の多い書人である。
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百科事典マイペディア 「張旭」の意味・わかりやすい解説

張旭【ちょうきょく】

中国,唐代の玄宗朝ころの書家。生没年不詳。字は伯高。蘇州呉の人。草書の法を変革し,狂草(奔放な草書)を創始したという。酔うと草書の大字を書きなぐり,時には髪を墨に浸して書いたという奇行から張【てん】(ちょうてん)と称された。楷書に《郎官石記》,草書に《自言帖》がある。
→関連項目懐素

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「張旭」の意味・わかりやすい解説

張旭
ちょうきょく
Zhang Xu

中国,唐の玄宗朝の書家,官吏。呉郡 (江蘇省) の人。字は伯高。左率府長史の官についた。酒を好んで奇行に富み,大酔すると狂走して草書を大書し,張顛 (ちょうてん) と称された。杜甫の詩『飲中八仙歌』に詠まれたことでも名高い。革新的な狂草 (→草書 ) を創始した一人とされ,のちの懐素,高閑らに影響を与えた。主要な遺品に『自言帖 (じげんじょう) 』『草書古詩四帖』『郎官石記』などがある。

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