徐州作戦（読み）じょしゅうさくせん

改訂新版　世界大百科事典

徐州作戦 (じょしゅうさくせん)

1938年日中戦争のとき，山東省に進出した日本の北支那方面軍のうち3個師団と南京攻略後の中支那派遣軍のうち2個師団（計約12万と推定）が，江蘇省の徐州周辺に集結した中国軍70個師団（約50万と推定）に対し，これを南北から攻撃，その抗戦意志の挫折をねらった作戦。台児荘方面に対する中国軍の反撃をきっかけとして，大本営は4月7日徐州作戦を下令した。5月上旬，上記日本軍は作戦を発起し，徐州を四周から包囲するように攻撃し，中国軍は20万の損害をこうむり南西方へ退却，5月19日徐州は陥落した。その結果国民政府は重慶に撤退し，日本側は不拡大方針を完全に放擲し，戦争は武漢，広東へ拡大した。
執筆者：栂 博

出典　株式会社平凡社「改訂新版　世界大百科事典」

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徐州作戦【じょしゅうさくせん】

1938年４月７日〜５月19日，中国の徐州付近に集結した中国軍70個師団（約50万）を日本軍が南北から挟撃，中国軍の抗戦意志を喪失させようとした作戦。南京占領後戦線拡大を意図した日本の現地軍は大本営に先行，1938年３月台児荘(たいじそう)に進出したが敗北。日本軍４個師団はその報復をかねて徐州を攻略，華北，華中を結ぶと同時に徐州集結中の中国軍50万の包囲全滅をねらった。４月下旬より南北からの激戦で徐州に接近したが，中国軍は退却戦術をとったため，徐州は占領したが包囲戦は失敗に終わった。国民政府は重慶に撤退。日本政府は不拡大方針を放擲(ほうてき)した。

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世界大百科事典（旧版）内の徐州作戦の言及

【日中戦争】より

…中国はまもなく活発な抗戦に出て，1938年4月には山東省南部の台児荘で日本軍を後退させて大勝利を宣伝した。日本軍は南北から徐州作戦を開始し，5月には徐州を占領したが，兵力の不足から対ソ作戦用師団の転用を余儀なくされ，中国軍の包囲には失敗した。
［戦争の長期化］
　日中戦争が起こるとすぐ政府は各界に〈挙国一致〉の協力を求め，国民精神総動員運動(1937年9月9日内閣訓令)を発足させた。…

【麦と兵隊】より

…1938年(昭和13)8月，《改造》に発表。日中戦争に出征中，《糞尿譚》で芥川賞を受賞し，報道部員として徐州作戦に参戦した従軍記。形式は徐州へ向けて上海を出発した38年5月4日から，徐州占領を果たし上海へ帰ることになった5月22日までの日記。…

※「徐州作戦」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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