(読み)ジョ

デジタル大辞泉 「徐」の意味・読み・例文・類語

じょ【徐】[漢字項目]

常用漢字] [音]ジョ(呉) [訓]おもむろ
ゆっくりしている。おもむろ。「徐行徐徐緩徐
[名のり]やす・ゆき

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「徐」の意味・読み・例文・類語

おもむろ【徐】

  1. 〘 形容動詞ナリ活用 〙 動き方がゆっくりしているさま。しずか。ゆるやか。おもふる。おもむる。〔色葉字類抄(1177‐81)〕
    1. [初出の実例]「おもむろに悩みまじろふ色の陰影(かげ)」(出典邪宗門(1909)〈北原白秋〉魔睡・天鵝絨のにほひ)

徐の語誌

( 1 )「おもふる」の変化したものとする説が有力だが、確かではない。
( 2 )文献上は「色葉字類抄」の例が突出して古いが、同書と関係の深い「世俗字類抄」や「十巻本伊呂波字類抄」には見えず、あるいは後世混入誤写か。


おもふる【徐・従容】

  1. 〘 形容動詞ナリ活用 〙 ( 「おもぶる」とも ) もの静かなさま。ゆったりしたさま。おもむろ。
    1. [初出の実例]「海神(わたつみ)、〈略〉従容(オモフル)に語して曰さく」(出典:日本書紀(720)神代下(鴨脚本訓))

徐の補助注記

「日本書紀」の訓読に関わる資料及び古辞書にのみ見える語。第三拍については、「おもむろ」(及びその中間形「おもむる」)との関連から、濁音とする考えが主流であるが、第三拍が濁音であることを直接に示す資料は、まだ報告されていない。


おもむる【徐】

  1. 〘 形容動詞ナリ活用 〙おもむろ(徐)〔観智院本名義抄(1241)〕
    1. [初出の実例]「貞女、吉士の礼を以て脱脱然として舒(オモムル)ならんことを欲す」(出典:毛詩永正九年点(1512)一)

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普及版 字通 「徐」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 10画

[字音] ジョ
[字訓] やすらか・おもむろ・ゆるやか

[説文解字]

[字形] 形声
声符は余(よ)。余に除・敍(叙)(じょ)の声がある。〔説文〕二下に「安行なり」という。〔易、困、九四〕「來(きた)ること徐徐たり」の意。余は膿血などを除く治療用の針。これを祝の器((さい))に加えてその呪能を無力にすることを舍()、聖地に刺して埋蠱(まいこ)のような呪法を無力にし除(はら)い清めることを除、道路に加えて修祓するを(途)、これによって安らかとなるを徐という。それで安行・安舒の意となる。

[訓義]
1. やすらかにゆく、やすらか。
2. おもむろ、しとやか、おだやか。
3. ゆるやか、ゆるめる、しずか。

[古辞書の訓]
〔名義抄〕徐 ヤウヤク・オソシ・シバラク・オモフル・シヅカ 〔字鏡集〕徐 ヲソシ・ホソシ・シバラク・ヤヤ・オモフル・シヅカ・ヤウヤク・ヨリヨリ

[語系]
徐zia、余jiaは声近く、余は針器。これを呪器として除道し、安行をうることを徐という。敍zia、除dia、舒sjiaなどみな声近く、祓除によってゆるやかにする意があり、みな一系の語である。

[熟語]
徐婉徐看徐緩徐言・徐行徐疾・徐徐徐詳徐進徐趨徐歩・徐
[下接語]
安徐・緩徐・虚徐疾徐・執徐・舒徐・微徐

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【殺狗記】より

…中国,元末・明初の戯文。徐(じよしん)の作。富豪の孫華が弟を虐待して無頼の徒と交わるのを見かねた妻の楊氏が,犬を殺して衣服を着せ,裏門に捨てておく。…

※「徐」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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