改訂新版 世界大百科事典 「御園座」の意味・わかりやすい解説
御園座 (みそのざ)
名古屋市にある劇場。1896年6月,名古屋劇場株式会社御園座として同市中区南園町1丁目(現,栄)に創立され,翌年5月落成開場。初代社長は長谷川太兵衛。当初の外観は東京明治座にならったモダンな洋風の造りで,舞台間口10間半(約20m),奥行9間(約16m),客席は1,2階とも全部枡席で定員1216名,ほかに大入場200名,一幕見100名計1516名。1935年改築,45年3月戦災のため焼失したが,戦後は47年10月再建,61年2月火災により焼失,63年8月再建。現在の建物は1階1007,2階812計1819席。回り舞台,セリなど舞台機構に最新の設備を整え,花道を沈下させて客席にも使用できる。81年,総工費2億5000万円をかけ,500場面の照明の記憶を可能とする舞台照明設備のコンピューター化を,東西の劇場にさきがけて完成した。また,地下に御園座演劇図書館を設け一般の閲覧に供している。明治の創設以来つねに名古屋地域における演劇文化の中心的存在である。
執筆者:権藤 芳一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報