御門(読み)ミカド

デジタル大辞泉 「御門」の意味・読み・例文・類語

み‐かど【御門/帝】

《「かど」の尊敬語》
天子天皇の位。また、天皇の尊称
門。特に、皇居の門。
一日ひとひには千度ちたび参りしひむがしの大き―を入りかてぬかも」〈・一八六〉
御殿。特に、皇居。
「ひさかたの天見るごとく仰ぎ見し皇子みこの―の荒れまく惜しも」〈・一六八〉
天子が政治を行うところ。朝廷
万代よろづよにいまし給ひて天の下奏し給はね―去らずて」〈・八七九〉
天子・天皇が治める国土国家
唐土もろこしにもわが―にも」〈須磨
[類語]天皇天子
[補説]作品名別項。→ミカド

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「御門」の意味・読み・例文・類語

み‐かど【御門・帝】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「み」は接頭語 )
  2. 門をいう尊敬語。ごもん。
    1. [初出の実例]「一日には千遍(ちたび)参りし東(ひむがし)の大き御門(みかど)を入りかてぬかも」(出典万葉集(8C後)二・一八六)
  3. 家、屋敷をいう尊敬語。御殿。御所
    1. [初出の実例]「纏向の 日代の宮は 朝日の 日照る宮〈略〉真木栄(まきさ)く 檜(ひ)の美加度(ミカド) 新嘗屋に 生ひ立てる」(出典:古事記(712)下・歌謡)
  4. 特に、天子・天皇の居処。朝廷。政府。政庁
    1. [初出の実例]「天皇(すめら)が朝庭(みかど)の敷き賜ひ行ひ賜へる国の法を過ち犯す事無く」(出典:続日本紀‐文武元年(697)八月一七日・宣命)
  5. 天子、天皇の位。帝位。皇位
    1. [初出の実例]「十一の御子寛明の親王と申しける、みかどにゐさせ給ひて、十六年おはしまして後におりさせ給ておはしましけるをぞ、朱雀のみかどとは申ける」(出典:栄花物語(1028‐92頃)月の宴)
  6. 天子、天皇の尊称。
    1. [初出の実例]「み世のみかどにつかうまつりて」(出典:伊勢物語(10C前)一六)
    2. 「ミカド及び大君に敵対せし時も各国亦其法に遵へり」(出典:中外新聞‐慶応四年(1868)五月九日)
  7. 天子、天皇の治める国。帝国。皇国
    1. [初出の実例]「荒き風 波にあはせず 平けく 率て帰りませ もとの国家(みかど)に」(出典:万葉集(8C後)一九・四二四五)
  8. ( 闈 ) 「みかど(御門)のつかさ」の略。

ご‐もん【御門】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「ご」は接頭語 ) 皇居の門、貴人の邸などの門をいう。
    1. [初出の実例]「南に近衛の御門面に唐門屋を立てたり」(出典:今昔物語集(1120頃か)三一)

お‐かど【御門】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「お」は接頭語 ) ⇒おかど(御門)が違(ちが)う

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の御門の言及

【天皇】より

… 江戸時代の禁裏料所は当初1万石余,中期に3万石余で,天皇,公家の立場は幕府のきびしい規制の下にごく限定されたものであり,その儀礼的な役割も形式的,名目的にとどまった。ただ,真継(まつぎ)家が鋳物師,土御門(つちみかど)家が陰陽(おんみよう)師,吉田家が神職に許状を与え,久我(こが)家が当道(とうどう)座を支配したように,職人,芸能民と公家との関係は,江戸時代を通じて保たれ,その経済を多少とも支えつづけた。しかも江戸後期,公家はそれをさらに積極的に拡大しようとした形跡があり,その実態と意義を探ることは,今後の研究に残されている。…

※「御門」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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