日本大百科全書(ニッポニカ) 「復興構想会議」の意味・わかりやすい解説
復興構想会議
ふっこうこうそうかいぎ
2011年(平成23)3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震による東日本大震災の復興政策の基となる考え方や復興の青写真を描くための有識者会議。正式名称は「東日本大震災復興構想会議」。菅直人(かんなおと)内閣総理大臣の発案で、同年4月14日に発足した。2011年6月に施行した東日本大震災復興基本法第18条に設置根拠や権限が規定されている。議長は、阪神・淡路(あわじ)大震災時に神戸大学教授を務めていた政治学者の五百旗頭真(いおきべまこと)(1943―2024)。復興構想会議の構成員は16人で、議長代理を東京大学教授の御厨貴(みくりやたかし)(1951― )と建築家の安藤忠雄が務め、特別顧問(名誉議長)に哲学者の梅原猛(たけし)がついた。
内閣総理大臣の諮問に基づき、発足から2か月後の6月に「復興への提言――悲惨のなかの希望」をまとめ、答申した。その内容は、復興費をまかなうために「震災国債(復興債)」の発行と臨時増税の必要性を提言、これは復興にかかる費用は「次の世代に負担を先送りしない」との考え方を盛り込んだもので、復興債発行とその償還財源は基幹税(所得税、法人税、消費税)の臨時増税でまかなうよう求めている。また災害対策は、防災ではなく、被害を最小に抑える「減災」の考え方を基礎に取り組むべきだとしている。さらに被災地復興のため、規制緩和や税制優遇する「復興特別区」の導入、補助金に比べ使い道が自由な「交付金」の創設、土地利用手続の一本化、再生可能エネルギー拠点の集積、農林漁業支援策の拡充などを提言した。なお、2012年2月10日の復興庁発足に伴い、同庁内で復興事業の推進を監視する復興推進委員会に発展的解消した。
[編集部]