循環器系の薬(循環器系用剤)
◎循環器系の薬とは
左心(心臓の左側)は、動脈系を介して全身へ血液を送り出しています(動脈血)。この動脈血は、肺で供給を受けた酸素や、肝臓から供給された栄養素などを、全身の臓器や組織に送り届ける役割を担っています。役目を終えた動脈血は、静脈に入って静脈血となり、右心(心臓の右側)に戻ってきます。静脈血は、酸素の少なくなった血液で、右心から肺へ送られ、ここで酸素の供給を受け、左心へ戻り、全身へと送り出されます。
心臓→動脈→臓器・組織→心臓→肺→心臓と巡る血液の経路を維持する心臓と血管を循環器といい、血液循環を悪化させる病気の治療に用いる薬を、循環器系用剤といいます。
心臓病に用いる循環器系用剤には、弱くなった心臓の拍動を強化し、十分な血液を送り出させる強心剤、乱れた心臓の拍動を正す不整脈治療剤、胸痛などの狭心症発作を鎮める狭心症治療剤があります。心臓病になると、むくみ(浮腫)がおこることがあって(心不全など)、尿量を増やしてむくみを解消する利尿剤が用いられる場合もあります。
血管の病気に用いる循環器系用剤には、動脈硬化症を治療する脂質異常症治療剤(脂質代謝改善剤)、高血圧症を治療する降圧剤、低血圧症を治療する昇圧剤があります。
脳の中の血液の流れが悪くなった場合、脳(末梢)血管拡張剤とともに、脳細胞のはたらきを高める脳循環代謝改善(賦活)剤が用いられることがあります。
また、血液が固まると(血栓)小さな血管の内腔につまってしまい、その先に血液が流れなくなります(血栓症)。この血栓症の治療と予防のために、抗血栓剤が用いられることもあります。
強心剤
不整脈治療剤
狭心症治療剤(冠血管拡張剤)
脳(末梢)血管拡張剤・脳(末梢)循環代謝改善剤
降圧剤(血圧降下剤)
肺動脈性高血圧症治療剤
利尿剤
昇圧剤(低血圧症治療剤)
脂質異常症治療剤(脂質代謝改善剤)
抗血栓剤
出典 病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版について 情報
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