忍ヶ岡(読み)しのぶがおか

日本歴史地名大系 「忍ヶ岡」の解説

忍ヶ岡
しのぶがおか

上野公園一帯の丘陵部をさす呼称。忍岡と記されて「しのぶのおか」「しのびのおか」ともよばれ、優美な名称であることから歌枕として和歌に詠まれた。「八雲御抄」名所部には武蔵国の「しのびの岡」があげられ、慈円の「拾玉集」には「我がこひはしのびのをかに秋暮れてほに出でやらぬしののをすすき」、「続古今集」には俊恵法師の「なにごとをしのぶのをかのをみなへしおもひしをれてつゆけかるらん」、「夫木抄」には文治六年五社百首の時の藤原俊成の「たがために忍びのをかのしたわらびけぶりはたてずもえわたるらん」などの歌がある。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「忍ヶ岡」の意味・わかりやすい解説

忍ヶ岡
しのぶがおか

東京都台東区(たいとうく)西部上野の古名。山手(やまのて)台地が隅田(すみだ)川沿い低地に臨む突端にあたり、江戸時代に東方の下谷(したや)に対して上野とよぶようになったが、以前は忍ヶ岡、また忍ヶ森とよばれた。東叡山(とうえいざん)寛永寺(かんえいじ)が1625年(寛永2)建立され、明治以後に上野公園となり、文化、散策の地として親しまれている。忍岡中学校にその名が残っている。

沢田 清]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の忍ヶ岡の言及

【上野】より

…武蔵野(山手)台地最東端に当たる上野山およびその周辺を指す。この台地は忍ヶ岡(しのぶがおか)とも呼ばれた。江戸時代初期に伊賀上野を領していた藤堂高虎らの屋敷があったため,上野の地名がついたといわれるが,周囲の低地から見て上野と名づけられたともいう。…

※「忍ヶ岡」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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