家庭医学館 「急性限局性外耳道炎」の解説
きゅうせいげんきょくせいがいじどうえんじせつ【急性限局性外耳道炎(耳) Furuncle of the External Auditory Canal, Localized External Otitis (Ear Furuncle)】
外耳道炎の1つで、炎症の部位が、おもに外耳孔(がいじこう)(耳の孔(あな)の入り口)や軟骨に囲まれた外耳道(図「耳の構造」)にかぎられている場合をいいます。顔の皮膚は、耳の孔の奥までつながっているので、この部分は、まだ皮下組織の皮脂腺(ひしせん)、毛嚢(もうのう)、耳垢腺(じこうせん)などが残っていて、ここに細菌が感染しておこります。
とくに軟性耳垢(なんせいじこう)(アメのような粘(ねば)っこい耳あか)が、ごみなどといっしょにかたまりになって外耳道につまっていると、水泳をしたときに水分で腫(は)れ上がり、外耳道の皮膚を圧迫し、細菌感染がおこりやすくなります。
[症状]
多くの場合、耳の入り口あたりの皮膚が腫れ上がり、触れると痛がります。
耳垢(耳あか)で耳の孔が塞(ふさ)がっていることも多いので、難聴(なんちょう)をともなうことがあります。こんなとき、耳朶(みみたぶ)のどこかを軽くひっぱってみると耳の痛みが増すので、診断に役立ちます。
[治療]
抗生物質や痛み止めの内服などで、1週間から10日くらいでよくなります。腫れがひいたり、1か所に穴が開いて、そこから膿(うみ)が出たりするとすぐによくなります。
夏は気温も高く、細菌の繁殖にも都合がよいのでおこりやすく、水泳の前に専門医に耳垢を掃除してもらっておくと予防になります。
これに対して、外耳道の奥の炎症であるびまん性外耳道炎は、骨の上を薄い皮膚が紙1枚でおおっているような状態なので、炎症が限局せず、周囲の外耳道全体に広がり、耳朶をひっぱっても痛みの程度に変化はありません。難聴は、あっても軽度です。
抗生物質含有軟膏(なんこう)を1日1、2回塗布すれば数日でよくなります。