翻訳|cerumen
〈じこう〉ともいう。外耳道の中に自然に発生してくる異物。その成分は,外耳道から出てくる剝脱(はくだつ)した上皮,抜けた毛,外界から入った小石,ごみなどのほか,いちばん大きな部分を占めるのは,耳垢腺から分泌される脂肪,タンパク質などの混合物である。耳垢腺は汗腺の一種ではあるが,アポクリン腺といって,細胞がカップケーキ状にふくれ上がり,その膜が破れて細胞の内容物がとび出てくるので,脂肪,タンパク質を多く含んでいる。耳あかがたまると,難聴,耳閉感,痛み,めまいなどを起こす。耳あかは外界に自然に排出されることが多いが,排出されにくい人もいる。ふつうは2~3ヵ月に1回くらいとればよい。
執筆者:鳥山 稔 耳あかには,含まれる脂肪酸の性質によって乾型(コナミミ)と湿型(アメミミ)の二つのタイプがあるが,この性質は第16番染色体上にある薬剤耐性に関係するABCC11遺伝子の538番目の塩基の違いによって決定されている。湿型が乾型に対して優性で,単純な遺伝様式をとる。湿型とわきがの出現頻度は並行しているとされている。集団による違いがあり,日本では乾型が8割程度を占め多数派であるが,ヨーロッパやアフリカの集団では,ほとんどの人が湿型である。
執筆者:篠田 謙一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
一般には耳垢(みみあか)、耳糞(みみくそ)とよばれる。外耳道の皮膚にある皮脂腺(せん)と耳垢腺からの分泌物や皮膚から剥脱(はくだつ)した上皮や塵埃(じんあい)(ちり、ほこり)などが混合してできている。皮脂腺と耳垢腺は外耳道の外側3分の1の皮膚に存在し、それより内側の外耳道皮膚にはこれらの腺がないので、耳垢は外耳道の奥には一般に少ない。耳垢は通常は乾燥し、淡黄色で、その量もあまり多くないが、人によっては湿潤性で黄褐色を呈し、量が多い。このような耳垢の耳を飴耳(あめみみ)、猫耳(ねこみみ)などとよぶことがある。しかし、これは病気ではなく体質によるもので、皮脂腺と耳垢腺が通常の人よりもよく発達し、その分泌物が多いのが原因であり、白人では乾燥した耳垢より湿潤した耳垢が多い。外耳道炎や中耳炎のときに出る耳漏(耳だれ)は病気に原因したものであり、鑑別が必要である。
[河村正三]
耳垢が大量にたまり、外耳道をほとんど閉塞(へいそく)した状態になっているものをいう。自覚的な症状が乏しくて気づかないことが多いが、水泳や洗髪で外耳道に水が入り、耳垢がふやけると外耳道が完全にふさがり、急に難聴や耳閉塞感あるいは耳鳴りがおこってくる。ときにはめまいがおこることもある。このような場合は、耳垢を軟らかくする耳垢水(グリセリンと重曹を基剤とした医薬品)を外耳道に繰り返し注入して、耳垢を軟らかくしてから洗い出すのがもっともよい。
[河村正三]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
…外耳道の中に自然に発生してくる異物。その成分は,外耳道から出てくる剝脱(はくだつ)した上皮,抜けた毛,外界から入った小石,ごみなどのほか,いちばん大きな部分を占めるのは,耳垢腺から分泌される脂肪,タンパク質などの混合物である。耳垢腺は汗腺の一種ではあるが,アポクリン腺といって,細胞がカップケーキ状にふくれ上がり,その膜が破れて細胞の内容物がとび出てくるので,脂肪,タンパク質を多く含んでいる。…
※「耳垢」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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