悲しむ(読み)カナシム

デジタル大辞泉 「悲しむ」の意味・読み・例文・類語

かなし・む【悲しむ/哀しむ/愛しむ】

[動マ五(四)]
心が痛む思いだ。悲しく思う。また、なげかわしく思う。「別れを―・む」「道徳心低下を―・む」⇔喜ぶ
(愛しむ)いとしいと思う。愛する。
端正たんじゃう美麗なる男子を産めば、父母これを―・み愛して」〈今昔・二六・五〉
(愛しむ)深く感動する。
「国王、これを見給ひて、―・み貴びて」〈今昔・九・一〉
嘆願する。
「手をすり―・めども」〈宇治拾遺・一〇〉
[可能]かなしめる
[類語]嘆く愁えるかこたんずる悲嘆する愁嘆する痛嘆する嗟嘆さたんする嘆息する長嘆する

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精選版 日本国語大辞典 「悲しむ」の意味・読み・例文・類語

かなし‐・む【悲・哀・愛】

  1. 〘 他動詞 マ行五(四) 〙
  2. かなしく思う。なげく。あわれむ。転じて、単に心情をあらわすだけでなく、それをあらわす行為をも含めた意味で用いられることもある。哀願する。
    1. [初出の実例]「天恩矜み憫(カナシム)で降(くた)すに良医を以てす」(出典:大慈恩寺三蔵法師伝承徳三年点(1099)九)
    2. 「烏の群れゐて池の蛙をとりければ、御覧じかなしませ給ひてなん」(出典:徒然草(1331頃)一〇)
  3. ( 愛 ) いとおしむ。いとしがる。
    1. [初出の実例]「月満て端正美麗なる男子を産ば、父母、此を悲み愛して」(出典:今昔物語集(1120頃か)二六)
    2. 「焼野の雉子子を思ふがごとく、妻をあはれみ老母をかなしみ」(出典:浮世草子・好色五人女(1686)四)
  4. 感動をもよおす。心を打たれる。
    1. [初出の実例]「おやの心かはりたるにより、一人あるをのこいたづらになしたることをおもしろうつくれり。ひと山の人かなしみののしる」(出典:宇津保物語(970‐999頃)菊の宴)

悲しむの語誌

→「かなしぶ(悲)」の語誌

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