改訂新版 世界大百科事典 「惣荘」の意味・わかりやすい解説
惣荘 (そうしょう)
中世の農村の自治組織の一つ。惣が荘園を単位に,特権的な名主層だけによって構成される段階を特定して呼ぶ場合と,広範な諸階層の百姓によって構成される段階の惣村まで含めて呼ぶ場合とがある。前者は今日の研究者の間で用いられる学術上の概念で,惣荘から惣村への発展,というように用いられ,主として室町期の惣村に対して,鎌倉時代の惣結合をさす。後者は当時の史料上に見られる呼称で,百姓が自分たちの組織を自称するときは,〈地下中(じげちゆう)〉〈惣百姓〉などとともに,惣荘の語をよく使った。惣村がいくつか集まった広域の惣結合を,惣郷とならんで惣荘と呼ぶ場合もあり,個々の村単位の惣村を惣荘と呼ぶ場合もあった。
執筆者:村田 修三
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報