教護院(読み)きょうごいん

世界大百科事典 第2版の解説

きょうごいん【教護院】

児童福祉法にもとづく児童福祉施設の一つであるが,1997年同法改正により〈児童自立支援施設〉と改称された。この施設は不良行為をなし,または,なすおそれのある児童(18歳未満)および家庭環境その他の環境上の理由により生活指導等を要する児童を入所させ,または保護者の下から通わせて,個々の児童の状況に応じて必要な指導を行い,その自立を支援することを目的とする(同法44条)。従来の教護院の対象(〈不良行為をなし,または,なすおそれのある児童〉に限定)と機能(従来は〈入所〉のみ)を拡充したものである。

出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

教護院
きょうごいん

不良行為をなし、または、なすおそれのある18歳に満たない児童を入院させて、これを教護することを目的とする児童福祉施設。1884年(明治17)池上(いけがみ)雪枝が大阪に設立した神道祈祷(きとう)所を先駆けとする。各新法制定により、感化院、少年教護院と名称をかえてきたが、1947年(昭和22)児童福祉法の制定により教護院となった。その沿革から、不良行為を行う少年の懲罰が目的ではなく、教育・保護を目的として運営される。都道府県知事は、児童相談所長からの報告、または家庭裁判所の教護院送致決定を受けて、当該児童を入院させる。職員として教護、教母、職業指導員を置き、できるだけ家庭的な雰囲気のもとで処遇するよう配慮されている。また、児童の日常生活、児童に対する生活指導、学習指導および職業指導に必要な設備の設置が義務づけられている。生活指導は、日常生活を通して心身の健全な発達と規則正しい生活習慣の習得を目ざす。学科指導は、基礎学力を回復するため、小・中学校の教育に準じて実施され、教護院長の発行する卒業証書その他の証明書は、学校長が発行するものと法律上同等の効力を有する。職業指導は、義務教育課程の技術・家庭科の範囲で実施し、中学校卒業者に対しては農耕・園芸・畜産・土木などの指導を行う。しかし、技術の習得よりは、勤労意欲の向上、生産活動の喜びの体得に重点がある。各都道府県と政令指定都市には設置が義務づけられている。なお、1997年6月の児童福祉法改正に伴い、98年4月より「児童自立支援施設」に改称され、家庭環境その他の理由により生活指導等を要する児童も対象に加え、通所者も受け入れることになった。[須々木主一]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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