児童自立支援施設(読み)ジドウジリツシエンシセツ

デジタル大辞泉 「児童自立支援施設」の意味・読み・例文・類語

じどうじりつしえん‐しせつ〔ジドウジリツシヱン‐〕【児童自立支援施設】

児童福祉法に基づく児童福祉施設の一。平成9年(1997)同法改正により教護院から名称変更。不良行為をした児童や将来不良行為をするおそれのある児童、および環境上の理由で生活指導を要する児童を入所させ、または保護者もとから通わせて、社会生活に適応するよう指導を行い、その自立を支援することを目的とする施設

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共同通信ニュース用語解説 「児童自立支援施設」の解説

児童自立支援施設

窃盗などの不良行為や、虐待など生活環境上の理由で指導が必要な子供の自立を支援する。厚生労働省が所管する児童福祉法上の施設で原則18歳未満の子供が暮らす。心身の健全な成長を後押しする性格が強く、多くが塀などがない開放処遇法務省が所管し矯正教育や社会復帰支援などを実施する少年院とは性質が異なる。都道府県に設置義務があり大半が公立。昨年10月時点で、全国で約1300人が入所する。

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精選版 日本国語大辞典 「児童自立支援施設」の意味・読み・例文・類語

じどうじりつしえん‐しせつジドウジリツシヱン‥【児童自立支援施設】

  1. 〘 名詞 〙 児童福祉法に基づく児童の福祉施設。法改正により、平成一〇年四月に「教護院」から改称された。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「児童自立支援施設」の意味・わかりやすい解説

児童自立支援施設
じどうじりつしえんしせつ

児童福祉法が定める施設。全国に58か所(2007年時点)あり、国公立、民間など運営形態はさまざま。従来「教護院」とよばれ、児童相談所や家庭裁判所が「不良行為をなし、またはなすおそれがある」と判断した児童を入所対象としてきたが、1998年(平成10)4月の法改正で改称され、「家庭環境その他の理由により生活指導等を要する児童」も対象に加えて、通所者も受け入れることになった。家裁の保護処分では14歳未満の少年は少年院ではなく、児童自立支援施設に送致される。改革の背景には定員に対し約4割という入所率の低さがあった。

[岡本 順]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「児童自立支援施設」の意味・わかりやすい解説

児童自立支援施設
じどうじりつしえんしせつ

児童福祉法 (昭和 22年法律 164号) 44条に基づき,不良行為を行なった児童や家庭環境その他の環境上の理由により生活指導などを要する児童の自立を支援する施設。少年法 (昭和 23年法律 168号) の規定に基づく家庭裁判所からの送致によるほか,保護者の長期にわたる養育怠慢・放棄などにより基本的な生活習慣の習得がなされていない児童らに対しては,児童相談所所長の報告などにより,都道府県知事が入所または通所の措置をとる。各施設には児童自立支援専門員,児童生活支援員,嘱託医などの職員が配置され,個々の状況に応じて社会で自立した生活を送るための指導を行なうとともに,退所者に対する相談や援助も行なっている。 1900年の感化法制定により設置された感化院が起源。少年教護院,教護院を経て 1998年から児童自立支援施設の名称が用いられている。少年院と異なり強制的措置は原則として認められず,児童の行動の自由を制約する必要のあるときは家庭裁判所に送致しなければならない。

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百科事典マイペディア 「児童自立支援施設」の意味・わかりやすい解説

児童自立支援施設【じどうじりつしえんしせつ】

旧称は教護院。不良行為をなし,またはなす恐れのある児童(18歳未満)を入院させ,教護するための福祉施設。児童福祉法に基づく。1900年創設の感化院,これに代わる1933年創設の少年教護院の後身。小・中学校に準じる学習指導や生活・職業指導を行う。1997年の児童福祉法改正によって現名に改称され,対象児童に〈家庭環境その他の環境上の理由により生活指導等を要する児童〉も含まれることになった。児童を施設へ収容する手続は,児童相談所長の提起で都道府県知事が入所措置をとる。この場合,親権者の同意が必要。親権者の同意が得られない場合は,家庭裁判所の判断により強制措置をとる。
→関連項目触法少年保護処分

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知恵蔵 「児童自立支援施設」の解説

児童自立支援施設

不良行為やその恐れのある児童及び、家庭環境などの理由により生活指導が必要な児童を入所または通所させ、必要な指導と自立を支援することを目的とした児童福祉施設。明治時代の感化院をその前身とし、戦後、児童福祉法に基づき教護院が規定され、児童福祉法改正により1998年4月から現在の名称と機能に変更された。自立支援を目的とすること、不良行為だけでなく生活指導が必要な児童へ対象を拡大したこと、施設長に入所児童の就学を義務付けたこと、自宅などからの通所方式が新設されたことが主な変更点である。また、2004年の法改正により退所児童のアフターケアの機能も追加された。小規模な寮単位で児童自立支援専門員が、児童別の自立支援計画に基づいて支援を行っている。殺人を犯した児童なども家庭裁判所の審判を通し入所しており、様々な情緒・行動上の問題を抱えた児童を支援する特質から、その体制の充実が求められている。全国に58カ所あり、そのうち国立の施設として、武蔵野学院(男子)、きぬ川学院(女子)がある。

(中谷茂一 聖学院大学助教授 / 2007年)

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