フランスの作家フローベールの長編小説。1869年刊。副題は〈ある青年の物語〉。物語の展開する時代は1840年から51年に至る10年余り,これに十数年後の後日譚がエピローグとして付くという構成。未来への“夢と希望”を抱いて地方からパリに出た青年フレデリック・モローが,人妻マリー・アルヌーへの恋や何人かの女たちとの交渉を軸とするさまざまな経験を積んだ末に,当初の夢が無惨に潰えさるのをみるまでが描かれる。主人公の私生活情景の描写ばかりではなく,二月革命前後の政治的社会的状況が綿密な資料調査に基づいて精確に描きだされているのが作品の特徴のひとつ。発表当時の世評は芳しくなく,おもに自然主義の作家たちから賞賛された時期はあったものの,以後ながく不当な評価を受けることが多かったが,今日では作者独創の手法や文体などが見直され,傑作のひとつに数えられている。
執筆者:斎藤 昌三
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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