慰める(読み)ナグサメル

デジタル大辞泉 「慰める」の意味・読み・例文・類語

なぐさ・める【慰める】

[動マ下一][文]なぐさ・む[マ下二]
何かをして、一時の悲しみや苦しみをまぎらせる。心を楽しませる。心をなごやかに静める。「失意の友を―・める」「音楽に―・められる」
労をねぎらう。いたわってやる。
下向には京へ寄りて、四、五日も―・め」〈浮・五人女・二〉
なだめる。すかして落ち着かせる。
「とかく―・めて、とくといひやりたるに」〈・二五〉
[用法]なぐさめる・いたわる――「病人を慰める(いたわる)」「老母を慰める(いたわる)」など、やさしく接する意では相通じて用いられる。◇「なぐさめる」「いたわる」ともに、相手を大切にして元気づけることだが、心の悩みについては「なぐさめる」、肉体の苦しみについては「いたわる」を使う傾向がある。「心(寂しさ)をなぐさめる」「病身をいたわる」◇類似の語「ねぎらう」は、仕事や労苦に対して感謝の気持ちを示すことであり、多く目下に対して使う。「徹夜した部下をねぎらう」は「いたわる」でもよいが、「病身の老母をいたわる」に「ねぎらう」は使えない。
[類語]いたわる慰安慰藉慰問見舞いねぎらう慰労

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「慰める」の意味・読み・例文・類語

なぐさ・める【慰】

  1. 〘 他動詞 マ行下一段活用 〙
    [ 文語形 ]なぐさ・む 〘 他動詞 マ行下二段活用 〙
  2. 心をなごやかに静まらせる。心を晴らす。気をまぎらせる。
    1. [初出の実例]「吾が恋ひの 千重の一重も 奈具佐米(ナグサメ)なくに」(出典万葉集(8C後)六・九六三)
    2. 「をとこ女のなかをもやはらげ、たけきもののふのこころをも、なぐさむるは歌なり」(出典:古今和歌集(905‐914)仮名序)
  3. なだめる。なだめすかす。
    1. [初出の実例]「日ひとひ、いりゐてなくさめ聞え給へど、とけがたき御気色いとどらうたげなり」(出典:源氏物語(1001‐14頃)葵)
  4. 労をねぎらう。いたわる。
    1. [初出の実例]「何国(いづく)迄もまいりて、下向には京へ寄て四五日もなくさめ」(出典:浮世草子好色五人女(1686)二)

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