戒本(読み)かいほん

精選版 日本国語大辞典 「戒本」の意味・読み・例文・類語

かい‐ほん【戒本】

  1. 〘 名詞 〙 ( [梵語] prātimokṣa の訳語波羅提木叉と音訳する ) 仏語。出家者が受け持たなくてはならない禁戒条文を集めたもの。四分律五分律などの、いわゆる広律(こうりつ)根本であるところから、この名があるとする。受戒布薩(ふさつ)などで読みあげられる。かいきょう。〔三代格‐二・延暦二五年(806)正月二六日〕
    1. [初出の実例]「毎日諸衆集会の次を以て、梵網の戒本・十重の文並に四十八軽戒の内四五戒を副へ講ずること数遍なり」(出典:栂尾明恵上人伝記(1232‐50頃)上)
    2. [その他の文献]〔開元釈教録‐第三〕

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「戒本」の意味・わかりやすい解説

戒本
かいほん
prātimokṣa

波羅提木叉とも音写されている。比丘比丘尼の受持すべき学処すなわち禁戒 (ごんかい) の条目を集めたもの。『四分律』『五分律』などの律典は,これを注釈細説したもので,戒の条目はこれら律典の根本である。戒本は部派仏教においては,伝承相違があるが,大乗仏教においては十重四十八軽戒の条文を説く『梵網経 (ぼんもうきょう) 』巻下を菩薩戒本と呼んでいる。

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