仏教用語で,修行者たちが毎月2回定期的に集まり,自分の犯した罪を告白,懺悔(さんげ)し,清浄な生活を送ることを確認しあう儀式。説戒ともいい,サンスクリットのウパバサタUpavasathaの俗語形を音写したもの。毎月の満月と新月の日(15日と30日)に行われ,出家者は原則として全員出席しなければならない。全員が集合したところで,法に詳しい比丘が波羅提木叉(はらだいもくしや)(戒の条項を集めたもの)の条文をいちいち読み上げ,その制禁に牴触(ていしよく)した覚えのある者は,自ら人々の前でその罪を発露(ほつろ)懺悔するのである。〈説戒〉の訳語はこの波羅提木叉の読誦に由来する。ウパバサタと呼ばれる儀式は,その内容は異なるが,仏教以前からインドで行われていたもので,仏教はそれを換骨奪胎して採り入れたものといわれる。なお,在家の仏教信者(優婆塞(うばそく),優婆夷(うばい))が毎月8日,14日,15日,23日,29日,30日の六斎日(ろくさいにち)に八斎戒(はつさいかい)を比丘から受け,それをその日だけ守ることを布薩と称することもある。
執筆者:岩松 浅夫
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サンスクリット語ポーシャダpoadhaの音訳で、長養、長浄などと意訳する。比丘(びく)たちが半月に1回、15日・30日あるいは15日・29日に一所に集会し、「波羅提木叉(はらだいもくしゃ)」(二百五十戒の条文集)を読み上げ、罪ある者は懺悔(ざんげ)し、行為を反省する。戒律が実行されていることを確認する集会のため、出欠は厳重で、無断欠席は許さない。これは部派仏教のものであるが、中国・日本の大乗仏教では、『梵網(ぼんもう)経』に基づく大乗の布薩も行われ、とくに日本では梵網の布薩が中心であった。在家では六斎日(ろくさいにち)(8・14・15・23・29・30日)に八斎戒などを守ることをいう。
[平川 彰]
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…また厄よけを目的とする〈醮(しよう)〉という祭りもあり,これは夜間に供物を並べて神々を祭り,願いごとを上奏するやり方で,道教の祭りは両者を合して〈斎醮〉とよばれることもある。 斎は清浄の意味をもつから,仏教でもウポサタuposathaまたはポシャダpoṣadha(音訳は布薩(ふさつ))の訳語として戒律を守り,身を清める意味に用いられ,六斎日(ろくさいにち),すなわち毎月8,14,15,23,29,30の6日には,在家の信者は〈八斎戒〉を守らねばならぬとされた。それは,殺さず,盗まず,婬せずなどの8種の禁忌をいうが,なかでも〈非時食(ひじしき)〉,すなわち午後の断食が中心とされ,仏教では主として午前中の食事を意味することになった。…
※「布薩」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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