日本大百科全書(ニッポニカ) 「戸田正三」の意味・わかりやすい解説
戸田正三
とだしょうぞう
(1885―1961)
衛生学者。兵庫県生まれ。1910年(明治43)京都帝国大学医科大学を卒業。1912年(大正1)から4年間欧米に留学、帰国後、母校の衛生学教授に就任。日本の気候風土、生活習慣に即した日本人独特の衛生学の樹立を目標に研究を行い、簡易で有効な実際的方法も創案した。夏季の開襟シャツ着用も戸田の提唱である。1923年『国民衛生』誌を創刊した。関東大震災後、東京市保健局長を兼務して復興に尽力した。満州事変後は国策に協力し、1939年(昭和14)京都帝国大学内に興亜民族生活科学研究所が設立されると、その所長になった。第二次世界大戦後、公職追放が解けた1949年(昭和24)金沢大学学長に迎えられ、4選され金沢大学の整備に尽くした。
[三浦豊彦]