手放す(読み)テバナス

デジタル大辞泉 「手放す」の意味・読み・例文・類語

て‐ばな・す【手放す】

[動サ五(四)]
手に持っていたものを放す。手元から放す。「捕まえた虫を―・す」
所有していたものを人手に渡す。「家屋敷を―・す」
目をかけていた部下子供を手元から放す。「娘を―・す」「子飼い選手を―・す」
仕事などを一時中止する。「―・せない仕事がある」
[類語]譲渡譲る譲り渡す譲与分譲委譲明け渡す引き渡す

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「手放す」の意味・読み・例文・類語

て‐ばな・す【手放・手離】

  1. 〘 他動詞 サ行五(四) 〙
  2. 手に持ったものをはなす。
    1. [初出の実例]「白き物こそ黒くなりけれ 手はなした継尾の鷹は夜籠りて〈徳元〉」(出典:俳諧・犬子集(1633)一七)
  3. 所有物を売ったり他人に与えたりする。
    1. [初出の実例]「銭をかふには金銀を手ばなし」(出典:仮名草子・東海道名所記(1659‐61頃)一)
    2. 「彼(かの)屋敷を手離すを余程残念に思ったと見へて」(出典:思出の記(1900‐01)〈徳富蘆花〉六)
  4. 勝手にさせる。自由にさせる。突き放す。手許にいた者をその監督・保護から放す。
    1. [初出の実例]「親は是を誠と思ひ娘を手ばなす物ならば」(出典:浄瑠璃・用明天皇職人鑑(1705)四)
    2. 「他(わき)へ、相談して見やせうよと、手放(テバナ)した挨拶に」(出典:合巻・蝶双春花壇(1834)上)
  5. 遠慮会釈なく思い切ってする。
  6. 仕事などを一時やらないでおく。
    1. [初出の実例]「別に手離されない用事もないのでせうから」(出典:二人女房(1891‐92)〈尾崎紅葉〉中)

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