打杖(読み)うちづえ

精選版 日本国語大辞典 「打杖」の意味・読み・例文・類語

うち‐づえ ‥づゑ【打杖】

〘名〙
① 人や物を打つための杖。
※虎明本狂言泣尼(室町末‐近世初)「母のうちづえにてなくなみだ」
能楽などで用いる小道具一つ撞木(しゅもく)のような形をした杖で、鬼、龍神などが持つ。
※わらんべ草(1660)二「狂言の道具〈略〉打つえは、かいなだけ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「打杖」の意味・わかりやすい解説

打杖 (うちづえ)

能楽・狂言や舞踊などの小道具。《紅葉狩》《春日竜神》《道成寺》などで後ジテの鬼や竜神相手方に打ちかかる演技等に使う。丁字形で長さ70cmほど,細竹に曲によって紺,白,赤,萌黄などの布(香緞)を巻く。狂言の打杖は《靱(うつぼ)猿》《釣狐》などに用いる鞭で約60cmほどの細い女竹。一般に折檻の杖を称する場合もあるが,本来は鬼など異神の武器の一つと考えられ,転じて民俗信仰では寿福をもたらしたり,死者を蘇らせたりする杖とも考えられた。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

普及版 字通 「打杖」の読み・字形・画数・意味

【打杖】だじよう

戦う。

字通「打」の項目を見る

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

今日のキーワード

青天の霹靂

《陸游「九月四日鶏未鳴起作」から。晴れ渡った空に突然起こる雷の意》急に起きる変動・大事件。また、突然うけた衝撃。[補説]「晴天の霹靂」と書くのは誤り。[類語]突発的・発作的・反射的・突然・ひょっこり・...

青天の霹靂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android