( 1 )もともとは「鐘木」と書き、呉音で「シュモク・シウモク」と読んだらしい。「文明本節用集」には「杵 シモク 或作鐘木 シユモク」とある。「鐘」は、「法華経単字」に「シュウ 主ウ」、「法華経音訓」に「鐘(シュ・シュウ)」などと注記されている。
( 2 )中世から近世にかけて、「鐘」の音読みは「ショウ」に固定し、「シュ」の音が常用音として失われていき、「鐘木」の表記例も少なくなる。のち、意味の上から当てた「撞木」(「撞」の音は漢音タウ、呉音ダウ)、「杵木」(「杵」の音は漢・呉音ショ)の表記、特に、「鐘」とつくりが同じ「撞」を用いた「撞木」が広まっていった。→「しもく(撞木)」の語誌
「しゅもく」の転じた語形であるが、拗音の表記の問題があり、中世後期の節用集まで「しゅもく」の語形は見えない。「日葡辞書」は「しもく」のみを立項するが、同時期の節用集に両形が見られ、「妙本寺蔵いろは字」には「杵木 シュモク シモク共」とあるところから、おそらくは中・近世頃には両形が併存していたのであろう。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
…邦楽器の打奏具としては,太鼓,かねなどの打ち棒をいうが,必ずしも棒状のもののみをいうのではなく,頭部を洋楽器のタンポンのように,なんらかのもので包んだものをもいい,その場合〈ばい〉ともいい,〈棓〉の字を当てることもある。また,棒の先で突き鳴らすものは,〈撞木(しゆもく)〉といって区別し,それにも梵鐘(ぼんしよう)を突く太い丸太状のものから,鉦(かね)類をたたく丁字形のものまであるが,後者の頭部が球状になっている〈角(つの)撞木〉などは〈角桴〉ともいい,必ずしも〈撞木〉と〈桴〉とが厳密に区別されているわけではない。 日本の撥弦(はつげん)楽器のうち,とくに琵琶および三味線などの比較的大型の撥弦具を〈ばち〉といい,〈撥〉の字を当て,指先に付けたりはさんだりする義甲の〈爪(つめ)〉とは区別される。…
※「撞木」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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