抽分銭(読み)チュウブンセン

デジタル大辞泉 「抽分銭」の意味・読み・例文・類語

ちゅうぶん‐せん〔チウブン‐〕【抽分銭】

室町時代輸入税の一。貿易した勘合船経営者である幕府寺社大名が、便乗する商人に輸入額の10分の1を課したもの。

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精選版 日本国語大辞典 「抽分銭」の意味・読み・例文・類語

ちゅうぶん‐せんチウブン‥【抽分銭】

  1. 〘 名詞 〙 抽分として上納する金。
    1. [初出の実例]「所謂抽分銭者。荷物日本之直。有博物之人而定其直。以其十分一之於寺也」(出典:鹿苑日録‐明応八年(1499)八月六日)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「抽分銭」の意味・わかりやすい解説

抽分銭
ちゅうぶんせん

室町時代に行われた勘合(かんごう)貿易の輸入品に対する一種の課税。遣明(けんみん)船帰国後、搭乗した商人の輸入品総額を国内価格で算定し、その10分の1を船の経営者が徴収した。経営者である幕府、守護大名寺院などは富裕な商人を多く乗せて抽分銭を増やすことに心を配った。しかし1476年(文明8)堺(さかい)を発した遣明船以後、幕府船、細川船について堺商人が出航前にあらかじめ抽分銭額を請け負うようになった。経営者に対し輸入額のいかんにかかわらず、一隻につき3000~4000貫文の納入を契約している。そのほかでは一隻で1000貫文、2000貫文の例もみられる。このような請負制では経営者はしだいに名目的なものとなり、商人が経営の実権を握り、ことに堺商人が貿易を独占する傾向を強めた。

[池上裕子]

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「抽分銭」の解説

抽分銭
ちゅうぶんせん

室町時代,貿易船に対する課税。収益の何割かを経営者である幕府・有力大名・寺社に納入する輸入収益税。中国元代初期に実施の例がある。遣明船については,帰航後に輸入した全貿易額の10分の1を徴収。物資は日本の相場に換算。和泉国堺商人が関与するようになると,抽分銭相当額を出航前に先納する請負制度が始まり,堺商人の経営独占化を促したが,大内氏の経営船では請負制は行われなかった。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「抽分銭」の意味・わかりやすい解説

抽分銭
ちゅうぶんせん

室町時代に中国,明との間に行われた勘合貿易の輸入税。遣明船 (勘合船 ) による輸入物の国内売価の 10分の1が徴収された。 15世紀後半には,堺の商人が1艘につき 3000~4000貫の抽分銭を払って貿易を独占していた。

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旺文社日本史事典 三訂版 「抽分銭」の解説

抽分銭
ちゅうぶんせん

室町時代,遣明船貿易の際の輸入税
勘合船の経営者である幕府・大名・寺院などが,その船に便乗した貿易商から,商人の輸入品の国内売却値段の10分の1を徴収した。室町幕府の重要な財源の一つであった。

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