指数法則(読み)シスウホウソク(その他表記)exponential law

デジタル大辞泉 「指数法則」の意味・読み・例文・類語

しすう‐ほうそく〔‐ハフソク〕【指数法則】

abが正の実数mnが実数のとき成り立つ次の三つ法則amanam+n, (amnamn, (abmambm

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精選版 日本国語大辞典 「指数法則」の意味・読み・例文・類語

しすう‐ほうそく‥ハフソク【指数法則】

  1. 〘 名詞 〙 累乗に関する次の三つの法則の総称。axay=ax+y, (ax)y=axy, (ab)x=axbx ただし、a、bは正の実数、x、yは任意の実数である。

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改訂新版 世界大百科事典 「指数法則」の意味・わかりやすい解説

指数法則 (しすうほうそく)
exponential law

abを任意の数(実数または複素数)とし,mnを正の整数とすると,

ただし,(4),(5)においてはa≠0とする。

 上の(1)~(5)を(指数が正の整数の場合の)指数法則という。

 正の数aに対してaxの定義を,指数xが任意の実数の場合まで拡張する。そのとき,拡張した範囲でも指数法則が成り立つように定義しなければならない。

 任意のa>0と正の整数nに対してbnaとなる正の数bはただ一つ定まる。このbaの正のn乗根といいと書く。すなわち,

 今後abは正の数を表すことにして,いちいちそのことを断らない。

 まず(5)が整数mn符号や大小に関係なくam/anamnと書けるためには,a0annan/an=1,したがってana0na0/an=1/anとなるべきである。よって,

 a0=1,an=1/an (n>0) ……(7) 

と定義する。次に,正の有理数rrm/nmnは正の整数)と表されるから,指数が有理数の場合にも,(2)が成り立つためには(arnarnamとなるべきである。だから(6)により,

と定義すればよい。

 とくにm=1のときは,


と定義したことになる。指数が負の有理数の場合については,負の整数の場合(7)と同様に考えて,

 ar=1/ar (rは正の有理数) ……(7′) 

と定義する。以上の定義により,(4),(5)はそれぞれ(3),(1)で表されるから,指数法則は次の三つの式にまとめられる。

 arasars   ……(1′) 

 (arsars    ……(2′) 

 (abrarbr (rsは有理数)   ……(3′) 

 次に,任意の実数xに対して,なる有理数列{rn}をとると,数列収束して,その極限値は,xに収束する有理数列{rn}のとり方に関係なく,xによって定まる。そこで,

と定義すると,すべての実数xに対してaxが定義されて,指数法則が成り立つ。すなわち,a>0,b>0のとき,任意の実数xyに対して次の各等式が成立する。

 axayaxy   ……(1″) 

 (axyaxy    ……(2″) 

 (abxaxbx   ……(3″)
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「指数法則」の意味・わかりやすい解説

指数法則
しすうほうそく
law of exponent

(1) 自然現象に対して成り立つ法則で,空間座標や時間などの関数として与えられた量が次第に減少していくとき,その様子が独立変数 x指数関数 exp (-αx) で表わされるものをいう。ここで,αは減少の割合 (速さ) を表わす定数で,αまたはその定数倍を減衰定数という。代表的な例として,放射性原子核の崩壊法則がある。時刻0における放射性原子核の数を N0 とすると,任意の時刻 t における数は N(t)=N0 exp (-λt) となり,時間 t の指数関数で表わされる。このときの減衰定数 λ を崩壊定数といい,1/λ を平均寿命という。そのほか,冷却の法則や光の物質層による吸収など,指数法則の例は多い。 (2) 一般に,a>0 ,b>0 であって mn が任意の実数であるとき,指数について次の法則が成り立つ。これらを指数法則という。

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法則の辞典 「指数法則」の解説

指数法則【law of exponents】


この関係は,mn が整数のとき,または ab が正で mn が実数の場合において成立する

指数法則【exponential law】

ある時刻,または空間一点における物理量の値は,経過時間,または移動距離などを適当な座標に定数を乗じたものを指数として含む指数関数に,物理量の初期値をかけたものとして与えられるという法則.定数が正の値なら成長を,負の値なら減衰を表す.

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世界大百科事典(旧版)内の指数法則の言及

【べき(冪∥羃)】より

…なお,2乗のことを自乗,または平方,3乗のことを立方ともいう。
[指数法則]
 数,変数,式,または関数x,yと自然数m,nについて,次が成り立つ。 xm×xnxmn (xm)nxmn (x×y)nxn×yn (x÷y)nxn÷ynここで,自然数nについてで表すと,べき指数,指数法則は整数まで拡張される。…

※「指数法則」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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