a,bを任意の数(実数または複素数)とし,m,nを正の整数とすると,
ただし,(4),(5)においてはa≠0とする。
上の(1)~(5)を(指数が正の整数の場合の)指数法則という。
正の数aに対してaxの定義を,指数xが任意の実数の場合まで拡張する。そのとき,拡張した範囲でも指数法則が成り立つように定義しなければならない。
任意のa>0と正の整数nに対してbn=aとなる正の数bはただ一つ定まる。このbをaの正のn乗根といいと書く。すなわち,
今後a,bは正の数を表すことにして,いちいちそのことを断らない。
まず(5)が整数m,nの符号や大小に関係なくam/an=am⁻nと書けるためには,a0=an⁻n=an/an=1,したがってa⁻n=a0⁻n=a0/an=1/anとなるべきである。よって,
a0=1,a⁻n=1/an (n>0) ……(7)
と定義する。次に,正の有理数rはr=m/n(m,nは正の整数)と表されるから,指数が有理数の場合にも,(2)が成り立つためには(ar)n=arn=amとなるべきである。だから(6)により,
と定義すればよい。
とくにm=1のときは,
と定義したことになる。指数が負の有理数の場合については,負の整数の場合(7)と同様に考えて,
a⁻r=1/ar (rは正の有理数) ……(7′)
と定義する。以上の定義により,(4),(5)はそれぞれ(3),(1)で表されるから,指数法則は次の三つの式にまとめられる。
aras=ar⁺s ……(1′)
(ar)s=ars ……(2′)
(ab)r=arbr (r,sは有理数) ……(3′)
次に,任意の実数xに対して,なる有理数列{rn}をとると,数列は収束して,その極限値は,xに収束する有理数列{rn}のとり方に関係なく,xによって定まる。そこで,
と定義すると,すべての実数xに対してaxが定義されて,指数法則が成り立つ。すなわち,a>0,b>0のとき,任意の実数x,yに対して次の各等式が成立する。
axay=ax⁺y ……(1″)
(ax)y=axy ……(2″)
(ab)x=axbx ……(3″)
執筆者:伊藤 清三
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…なお,2乗のことを自乗,または平方,3乗のことを立方ともいう。
[指数法則]
数,変数,式,または関数x,yと自然数m,nについて,次が成り立つ。 xm×xn=xm+n (xm)n=xmn (x×y)n=xn×yn (x÷y)n=xn÷ynここで,自然数nについてで表すと,べき指数,指数法則は整数まで拡張される。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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