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振替ルーブル ふりかえルーブルtransferable ruble

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

振替ルーブル
ふりかえルーブル
transferable ruble

コメコン諸国間の多角的決済に用いられるルーブルのこと。加盟国間の共通決済通貨として,相互に振替が可能になっている。しかし,振替ルーブルは帳簿上の通貨にすぎず,振替ルーブル建ての債務は,債権国に対する振替ルーブルの黒字によって返済する以外にない。このためコメコン内の貿易でいくら振替ルーブル建ての債権を増やしても,これを対西側債務の返済に充てることはできない。これが東欧諸国の対外債務の増加の一因となってきた。コメコン体制の見直しも図られており,コメコン内での決済も交換可能通貨建てで行なわれるようになってきている。しかし,東欧諸国とソ連との貿易上の結び付きは強いため,交換可能通貨建ての割合はまだ低い。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

振替ルーブル
ふりかえるーぶる
переводный рубль perevodny rubl' ロシア語
transferable rouble英語
transferabler Rubelドイツ語

経済相互援助会議(コメコン)加盟8か国が多角決済の確立を目ざして1964年に設立した国際経済協力銀行(通称コメコン銀行)を中心に相互間の決済に利用した通貨。この通貨の特徴は、コメコンの価格形成原則に基づくコメコン諸国間の取引のなかから発生し、コメコン銀行の帳簿に記載されるものであって、金ないしドル、またはコメコン各国の国民通貨とも交換できず、その金含有量においてソビエト・ルーブルと等価であるとされた。コメコン諸国間貿易の大部分は双務的計画を基礎として行われ、その収支尻(じり)をまかなう第三国の貿易計画はない。また、価格形成原則の統一的運営も完全には守られていなかった。したがって振替ルーブルを自動的に多角決済に利用することはできず、それには第三国の同意が必要であった。その多角決済への利用は、域内貿易総額のわずか5%前後とみられていた。振替ルーブルの金含有量が名目的で商品保証が希薄なため、国際通貨ではなくて、双務取引の計算手段だといわれた理由はここにある。そこで、東欧諸国、とくにハンガリーやポーランドから振替ルーブルの交換性要求が強まったのは当然である。しかし、いかなる意味においてもソ連はこれを拒否した。
 ところが、1987年以降、ソ連の対東欧国際収支の悪化が目だち、80年代末にはあらゆる国との間で赤字を出すに至った。1989年6月、ついにソ連はハンガリーとドル決済を主内容とする協定を結ばざるをえなくなった。
 こうして、1990年1月のコメコン第45回総会で、ソ連代表ルイシコフは、東ドイツ、ブルガリア、ルーマニア、キューバからの反対または慎重な意見にもかかわらず、あらゆるコメコン内取引を91年1月からドル決済に移行させる提案を行い、これが決定されて振替ルーブルは廃止された。[名島修三]

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世界大百科事典内の振替ルーブルの言及

【ルーブル】より

…しかしCOMECON(コメコン)加盟国のなかでは公式に決済・基準通貨として使用できるように定められていた。1963年COMECON銀行が設立されて,〈振替ルーブル〉による多角的決済の仕組みがつくられた。振替ルーブルの金含有量はソ連邦ルーブルと等価であり,COMECON銀行の基準・決済・準備通貨としての機能を果たしていた。…

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