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多嚢胞性卵巣症候群 タノウホウセイランソウショウコウグン

栄養・生化学辞典の解説

多嚢胞性卵巣症候群

 両側の卵巣の多嚢胞性腫大と無排卵を特徴とする症候群.

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

家庭医学館の解説

たのうほうせいらんそうしょうこうぐん【多嚢胞性卵巣症候群】

 PCOS(Polycystic Ovary Syndrome)あるいはPCOD(Polycystic Ovary Disease)と略称されます。また、男性化をともなうものでは、スタイン・レーベンタール症候群などとも呼ばれます。
 その病態はまだ十分にはわかっておらず、臨床的にも問題の多い病気です。
 卵巣内で卵胞(らんぽう)が発育して排卵(はいらん)直前になると、成熟した卵胞の直径は20mm前後になり、エストロゲンが十分に分泌(ぶんぴつ)されます。そして、LHサージ(「月経のおこるしくみ」)もおこるのですが、この病気では、排卵はされません。このような状態になると、卵胞が卵巣内に多数できてしまい、多嚢胞性卵巣の状態となります。
 この病気の特徴は、まず、超音波検査をすると、卵巣の表面にネックレスのように小さな嚢胞が多数並んでいる(ネックレスサイン)のが確認できます。
 病理学的には、嚢胞が多数存在するとともに、白膜肥厚(はくまくひこう)がみられます。つまり、卵巣の表面がかたくなってしまい、破れにくく、排卵しにくくなっているのです。
 内分泌学(ないぶんぴつがく)的にもたいへん特徴があり、ゴナドトロピン(性腺(せいせん)刺激ホルモン)は、FSH(卵胞刺激ホルモン)がほぼ正常で、LH(黄体(おうたい)形成ホルモン)が高い値を示し、LH-RHテストをすると、LHが高反応を示します。この状態になると、卵胞のまわりの莢膜(きょうまく)細胞が増殖し、アンドロゲン(男性ホルモン)が高値となりやすくなります。
 日本人では、男性ホルモンが高値となっても、多毛(恥毛(ちもう)が濃くなる)や陰核(いんかく)肥大、嗄声(させい)(男性の声のように太くて低い声)などの男性化をおこす人は少ないのですが、PCOSのある人は少なくありません。
 原因として、肥満や耐糖能(たいとうのう)との関係、副腎(ふくじん)との関係など諸説があり、なかなかむずかしい病気です。
 PCOSの治療には、排卵誘発剤の使用が有効ですが、多胎妊娠(たたいにんしん)(「多胎妊娠とは」)や卵巣過剰刺激症候群(らんそうかじょうしげきしょうこうぐん)がおこる頻度が高くなります。
 排卵しやすくするために、腹腔鏡(ふくくうきょう)などで卵巣表面に傷をつける方法も有効ですが、半年間ぐらいしか効果が持続せず、その後癒着(ゆちゃく)をおこすと、さらに不妊になる可能性が高くなるなど、一筋縄ではいきません。
 担当医とよく相談しながら治療に臨むほかありません。

出典 小学館家庭医学館について 情報

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