採桑老(読み)サイソウロウ

デジタル大辞泉 「採桑老」の意味・読み・例文・類語

さいそうろう〔サイサウラウ〕【採桑老】

雅楽唐楽盤渉ばんしき調で古楽中曲。舞は一人舞で、老翁の面をつけ、鳩杖はとづえをついて、歩行も耐えがたい姿で舞う。さいしょうろう。

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精選版 日本国語大辞典 「採桑老」の意味・読み・例文・類語

さいそうろうサイサウラウ【採桑老】

  1. [ 1 ] 雅楽曲の一つ。左方(さほう)に属し、盤渉(ばんしき)調の曲名。一人舞で、老翁の面を着け、白色の袍(ほう)を着て帽子をかぶり、帽子のうしろに笹の葉をさし、鳩杖(はとづえ)をついて、歩行に苦しむさまをして舞うもの。伝承されてはいるが、ほとんど演じられなくなった。採桑子。さいしょうろう。
    1. 採桑老<b>[ 一 ]</b>〈信西古楽図〉
      採桑老[ 一 ]信西古楽図
  2. [ 2 ] 〘 名詞 〙 植物「はないかだ(花筏)」の異名。〔大和本草批正(1810頃)〕

さいしょうろうサイシャウラウ【採桑老】

  1. さいそうろう(採桑老)[ 一 ]色葉字類抄(1177‐81)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「採桑老」の意味・わかりやすい解説

採桑老 (さいそうろう)

雅楽の管絃舞楽の曲名。唐楽,盤渉(ばんしき)調,一人舞。別名《採桑子》ともいう。番舞(つがいまい)は《新靺鞨(しんまか)》。高麗楽という説もある。舞は久しく絶えていたが,1962年復活上演された。老いた翁の面(能の翁を思わせる)をつけ,牟子(むし)という頭巾の後に笹の葉をさして白の直衣に紫の袍という《採桑老》用の装束を着る。下鞘(しもざや)と薬袋(やくたい)を腰に下げ,鳩杖をつき,係物(かかりもの)という介添人に助けられながら登場。百済の国の採桑翁が鳩杖をもち,老いた体で舞った姿をあらわしたものといい,介添人の肩にすがってようやく歩くという舞振りもある。日本には用明天皇(在位585-587)のときに大神公持が伝えたといわれている。舞楽のときは,調子(出手(ずるて))-当曲-詠-音取(ねとり)-当曲-詠-音取-当曲-上調子(入手(いるて))と奏され,詠の部分では,舞人が30歳から100歳まで人間の老いていく姿を10歳刻みに語る。また調子の所では《安摩》と同様,鹿婁(ろくろ)乱序を奏する。管絃の曲としては,延八拍子,拍子12の中曲である。
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