鳩杖(読み)きゅうじょう

精選版 日本国語大辞典 「鳩杖」の意味・読み・例文・類語

きゅう‐じょう キウヂャウ【鳩杖】

菅家文草(900頃)一・九日侍宴、同賦天錫難老「鳩杖旧在、誰見扶持之用
宴曲・撰要目録(1301‐19)序「ただ老耄鳩杖(キウヂャウ)のたづき無く」 〔芸文類聚

はと‐づえ ‥づゑ【鳩杖】

※運歩色葉(1548)「鳩杖 ハトツヘ」

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デジタル大辞泉 「鳩杖」の意味・読み・例文・類語

はと‐づえ〔‐づゑ〕【××杖】

はとつえ」に同じ。

きゅう‐じょう〔キウヂヤウ〕【××杖】

はとのつえ

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改訂新版 世界大百科事典 「鳩杖」の意味・わかりやすい解説

鳩杖 (はとづえ)

はとのつえ〉とも,音読して〈きゅうじょう〉ともいう。老人のつく杖で,頭部に鳩の形を飾り付けたもの。古代中国の風習で,老臣をねぎらいいたわるために宮中から下賜された。鳩はむせない鳥とされ,老人がむせないようにとの意から鳩の飾りのあるはし(箸)を下賜された故事によるという。また高祖(劉邦)が項羽と戦って敗れ,草むらに隠れていたとき,鳩がその上に止まって鳴いたので,追手は鳥がいれば人はいないとみて去り,ついに脱出できた。後年即位して鳩杖を作って老人に賜ったとの説もある。日本でも高齢を祝賀する算賀さんが)や尚歯会(しようしかい)のときなどに行われた。70,80,90歳の例があり,鳩はハトで80歳としてもいる。藤原俊成の〈九十の賀〉の折の鳩杖は,銀製で竹の形をしており,上に鳩をすえ1枝2葉があり,葉に和歌を書いた。近代までこの風習は行われていた。

 《採桑老(さいそうろう)》という舞楽では,舞人の杖に鳩杖が用いられ,握りの部分がT字形になっている,いわゆる撞木杖(しゆもくづえ)に鳩をすえたものである。
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普及版 字通 「鳩杖」の読み・字形・画数・意味

【鳩杖】きゆうじよう(きうぢやう)

玉杖九尺。頭に鳩を飾る。八十・九十の人に賜う。〔書、玄宗紀〕(開元二年)京師に宴し、老を含元殿に侍す。九十以上に几杖を、十以上に鳩杖を賜ふ。人にも亦た之(かく)の如くし、其の家に賜ふ。

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