掲げる(読み)カカゲル

デジタル大辞泉 「掲げる」の意味・読み・例文・類語

かか・げる【掲げる】

[動ガ下一][文]かか・ぐ[ガ下二]
人目につく高い所へ上げる。また、手に持って高く差し上げる。「国旗を―・げる」「たいまつを―・げる」
新聞・雑誌などの、目立つ場所に載せる。目立つように工夫して載せる。「巻頭に―・げる」
主義・方針などを、人目につくように示す。広く、示して知らせる。「スローガンを―・げる」
垂れ下がっているものを、上の方へ持ち上げる。まくり上げる。「幕を―・げる」
灯火をかき立てて明るくする。
ともしびを―・げ尽くして」〈桐壺
[類語]示す見せる呈示する提示する開示する明示する表示する掲揚するかざす

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「掲げる」の意味・読み・例文・類語

かか・げる【掲・挑】

  1. 〘 他動詞 ガ下一段活用 〙
    [ 文語形 ]かか・ぐ 〘 他動詞 ガ下二段活用 〙 ( 「かきあげる(掻上)」の変化した語 )
  2. くしなどで上の方にすきあげる。
    1. [初出の実例]「少女らが織る機の上を真櫛もち掻上(かかげ)たく島波の間ゆ見ゆ」(出典:万葉集(8C後)七・一二三三)
  3. (すだれ)や衣の裾、幕などをまくりあげる。上へ巻きあげる。
    1. [初出の実例]「裳(も)を褰(カカケ)、浪を披(かうぶり)(みづから)王船(みふね)を扶(たす)けて岸に着けまつる」(出典:日本書紀(720)景行四〇年一〇月(北野本訓))
    2. 「烏帽子ゆがみ、紐はづし、脛(はぎ)たかくかかげて」(出典:徒然草(1331頃)一七五)
  4. 灯火を掻き立てて明るくする。油皿の中の灯心を高くする。
    1. [初出の実例]「燈台に火をともしていとあかうかかげて」(出典:枕草子(10C終)一四五)
    2. 「皆寄り臥して、仏の御ともし火もかかぐる人もなし」(出典:源氏物語(1001‐14頃)総角)
  5. 物を手などで高く持ち上げる。また、人目につくような高い場所に置く。月などが空にあることにもいう。
    1. [初出の実例]「おもひやれとよにあまれる燈火のかかげかねたるこころぼそさを〈大江匡範〉」(出典:千載和歌集(1187)雑中・一〇八四)
  6. ( を比喩的に用いて ) 靄(もや)や迷いなどを幕のように前をさえぎるものに見立て、それをもちあげる、はらいのける。
    1. [初出の実例]「且挙一二、褰子之迷」(出典:秘蔵宝鑰(830頃)中)
  7. ( を比喩的に用いて ) 人目につくようにする。広く人に知られるようにする。
    1. [初出の実例]「三百余歳の法燈を挑る人もなく」(出典:平家物語(13C前)二)
  8. 文書印刷物などに載せて示す。ことばに表わして示す。
    1. [初出の実例]「読本第一第二掲ぐる所のものを」(出典:小学読本(1884)〈若林虎三郎〉三)

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