見せる(読み)ミセル

デジタル大辞泉 「見せる」の意味・読み・例文・類語

み・せる【見せる】

[動サ下一][文]み・す[サ下二]
見えるようにする。人にわかるように示す。「人前に姿を―・せる」「定期券を―・せる」
行動・態度・表情などに表して、そうであることを人にわからせる。「意地を―・せる」「関心を―・せる」「弱みを―・せる」
経験させて、わからせる。「痛い目を―・せる」「憂き目を―・せる」
ある状態やようすに見えるようにする。そのように見せかける。「年齢より若く―・せる」「故意過失に―・せる」
あるきざしが現れる。「景気がかげりを―・せる」
診察鑑定などをしてもらう。「子供を医者に―・せる」「茶器を目利きに―・せる」
すばらしい芸や技などで人の心を引きつける。「幅広い演技で―・せる俳優」
嫁がせる。結婚させる。
少将などいふほどの人に―・せむも」〈・東屋〉
ようすを調べさせる。検分させる。
「跡なきことにはあらざめりとて、人をやりて―・するに」〈徒然・五〇〉
10補助動詞)動詞の連用形助詞「て」の付いた形に接続して用いる。
㋐実際にその行為をして、人に示す。「歌って―・せる」「おどけて―・せる」
㋑強い決意を表す。「絶対に勝って―・せる」
[補説]6は、診察してもらう意では「診せる」とも書く。7は、「魅する」からの連想で多く「魅せる」と書く。
[下接句]後ろを見せる尾を見せる顔を見せる白い歯を見せる泣きを見せる抜く手も見せず目に物見せる・目を見せる
[類語]示す呈する呈示する提示する開示する明示する表示する掲揚するかざす掲げる

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「見せる」の意味・読み・例文・類語

み・せる【見】

  1. 〘 他動詞 サ行下一段活用 〙
    [ 文語形 ]み・す 〘 他動詞 サ行下二段活用 〙
  2. 見るようにさせる。人にわかるように示す。
    1. [初出の実例]「悔しかもかく知らませばあをによし国内(くぬち)ことごと美世(ミセ)ましものを」(出典万葉集(8C後)五・七九七)
    2. 「いかではかなき心ざしをみせんと思ひて」(出典:落窪物語(10C後)一)
  3. ( 顔を見せるの意から ) 相手の前に姿を現わすようにする。人をたずねたり、人に会ったりする。
    1. [初出の実例]「よし、なほおほかたにて、見せむ。月おもしろきに、と言へば、来たり」(出典:平中物語(965頃)二)
  4. とつがせる。めあわせる。
    1. [初出の実例]「かしづかんと思はむ女こをば、宮仕へにつぎては、みこたちにこそはみせ奉らめ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若菜下)
  5. 様子を調べさせる。見とどけさせる。
    1. [初出の実例]「心えで、人をつけてみすれば」(出典:蜻蛉日記(974頃)上)
  6. 経験させる。
    1. [初出の実例]「さかしりをかき出て、ここらのおほやけ人に見せてはぢを見せん」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
  7. 占わせる。
    1. [初出の実例]「しのびてよろしき日みせて」(出典:青表紙一本源氏(1001‐14頃)明石)
  8. 診察させる。
    1. [初出の実例]「后呂太后、良医をむかへて見せしむるに」(出典:平家物語(13C前)三)
    2. 「医者に診(ミ)せるが可いですね」(出典:多情多恨(1896)〈尾崎紅葉〉前)
  9. ( 動詞の連用形に助詞「て」を添えた形につき、補助動詞のように用いる ) ためしに…して人に示す。
    1. [初出の実例]「然ば暫く居たれ、水飯食て見せむ」(出典:今昔物語集(1120頃か)二八)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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