摘む(読み)ツマム

デジタル大辞泉 「摘む」の意味・読み・例文・類語

つま・む【摘む/撮む/×抓む】

[動マ五(四)]
指先ではさむ。指先やはしなどではさみもつ。「鼻を―・む」「塩をちょっと―・む」
指先などで取って食べる。また、手軽に食べる。「一つ―・んでください」「すしを―・む」
重要なところを抜き出す。かいつまむ。「要点を―・んで話す」
(多く「つままれる」の形で用いる)きつねなどが人をだます。化かす。「まるで狐に―・まれたような話」
俗に、生検を行うこと。「胃の組織を―・む」
[可能]つまめる
[用法]つまむ・はさむ――「はしでつまんで(挟んで)皿に移して下さい」など、間に入れて持つの意では相通じて用いられる。◇「つまむ」は指先または箸などの先を使った動作で、「鼻をつまむ」「箸で煮豆をつまんで食う」のように用いる。◇「挟む」は二つの物の間に何かを入れて動かないようにすることで、「両脚で挟んで締めつける」「小脇に挟む」のように、道具に特別の限定がない。◇「すしをつまむ」「菓子をつまんでください」などの「つまむ」は取り上げて食べる意で、「挟む」とは言わない。◇「机を挟んで向き合う」「人の話に口を挟む」などの「挟む」は「つまむ」に置き換えることはできない。
[類語](1つねる摘む挟む

つ・む【摘む】

[動マ五(四)]
(「抓む」とも書く)指先や爪の先ではさみとる。つまみとる。「茶を―・む」「花を―・む」
(「剪む」とも書く)はさみなどで物の先を切りとる。「枝を―・む」「髪を―・む」
1の比喩的用法)大きくならないうちに取り除く。「悪の芽を―・む」
指先ではさんで持つ。
御裳みもの裾―・みあげ」〈・四四〇八〉
指先で強くはさむ。つねる。「わが身を―・んで人の痛さを知れ」
「太刀抜きたるかひなを捕らへていといたう―・み給へれば」〈紅葉賀
[可能]つめる
[類語]つねるつまむ

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「摘む」の意味・読み・例文・類語

つ・む【摘・採・抓】

  1. 〘 他動詞 マ行五(四) 〙 ( 「つめ(爪)・つま(爪)」と関係ある語か )
  2. [ 一 ] 対象物をはさみ切る。
    1. 指先または爪の先ではさみとる。つまみ切る。
      1. [初出の実例]「山県(やまがた)に 蒔ける菘菜(あをな)も 吉備人と 共にし都米(ツメ)ば 楽しくもあるか」(出典古事記(712)下・歌謡)
    2. はさみなどで先を切りとる。短くする。頭髪植木などを刈り取る。
      1. [初出の実例]「禿額は眉かけてつむ〈介我〉 誰れを誰が文珠普賢にうつしけん〈其角〉」(出典:俳諧・陸奥鵆(1697)三)
  3. [ 二 ] 対象物をはさむ。
    1. 指先でつまむ。
      1. [初出の実例]「ははそばの 母の命(みこと)は 御裳(みも)の裾 都美(ツミ)(あ)げ掻き撫で」(出典:万葉集(8C後)二〇・四四〇八)
    2. 指先でつよくはさむ。つねる。つめる。
      1. [初出の実例]「万代に心はとけて我が背子が都美(ツミ)し手見つつ忍びかねつも」(出典:万葉集(8C後)一七・三九四〇)
      2. 「などか来ぬ、訪はぬ、にくし、あからしとて、打ちもつみもし給へかし」(出典:蜻蛉日記(974頃)下)
    3. 拾いあげる。選びとる。
      1. [初出の実例]「寒ぞらにたちぬふ衣の数おほみ 雪程しろき綿ぞつみをく」(出典:俳諧・寛永十三年熱田万句(1636)一〇)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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