支払地(読み)しはらいち

精選版 日本国語大辞典 「支払地」の意味・読み・例文・類語

しはらい‐ちしはらひ‥【支払地】

  1. 〘 名詞 〙 手形小切手記載されている金額の支払をなすべき地域支払場所に対して、一定の広がりをもつ地域。〔商法(明治三二年)(1899)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「支払地」の意味・わかりやすい解説

支払地 (しはらいち)

一般には債務履行としての支払をなすべき地点または地域をいう(〈弁済〉の項参照)が,手形(小切手)に関しては,その支払をなすべき地として証券上に記載された地域をいう。手形(小切手)要件,すなわち手形の振出にあたって記載すべき法定事項のひとつ(手形法1条5号,75条4号,小切手法1条4号)である。支払をなすべき地点たる支払場所と異なり,それを包含するある程度の広がりをもつ。手形の支払は支払地内において,とくに第三者方で支払うべき旨の記載のない限り支払人または約束手形振出人の営業所または住所でなされる(商法516条2項)が,手形要件としては,そのような地点を記載しなくとも,その手がかりとなる支払地を記載しておけば足りることとしたのである。どの程度の地域であればよいかについては,判例は一貫して,最小独立行政区画(市町村,東京都では区)がこれにあたるとしているが,学説は,それより狭い地域でも,その範囲が客観的に確定し,かつその名称が社会的に通用していれば足りる,とする。支払地の重畳的記載,選択的記載,実在しない地域の記載は,いずれも手形を無効とする,というのが通説であるが,選択的記載については,所持人が選択権をもつ限り,有効とする説も有力である。支払地と振出地とが同一の手形を同地手形両者が異なるものを異地手形という。また支払地と支払人または約束手形の振出人の住所地とが同一の手形を同地払手形,異なるものを他地払手形という。支払地の記載を欠く場合でも,支払人の名称の付記地または振出地の記載があればそれが支払地とみなされ,手形は無効にならないですむ(手形法2条3項,76条3項,小切手法2条2,3項)。
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