振出(読み)フリダシ

デジタル大辞泉 「振出」の意味・読み・例文・類語

ふり‐だし【振(り)出(し)】

物を振って出すこと。また、振って小さい穴から出すように作った容器
双六すごろくさいを振りはじめる出発点
物事の始め。出発点。「小さな店を振り出しに大経営者になった」
手形小切手などを発行すること。
茶道で、小型の菓子器。また、香煎を入れる器。
振り出しぐすり」の略。
[類語](3出だし滑り出しはじめ最初当初初期初頭劈頭へきとう冒頭初手しょて出端ではなはな初っぱな起点始点出発点スタート

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「振出」の意味・読み・例文・類語

ふり‐だし【振出】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 振って中のものを出すこと。振り出すこと。
  3. 中に入れてあるものを、振って小さい穴から出すように作ってある容器。
    1. [初出の実例]「行李の中へしまった箱は、金米糖のふり出(ダ)しにちげへねへと」(出典西洋道中膝栗毛(1870‐76)〈仮名垣魯文〉六)
  4. ふりだしぐすり(振出薬)」の略。
    1. [初出の実例]「お手廻り針立本道、ふり出(ダ)しをふり立てのますなど」(出典:浮世草子・けいせい伝受紙子(1710)五)
  5. ( 「丹前振出」の略 ) 歌舞伎の演技の一つ。花道の出、または引込みに両手を振って足を踏み出すしぐさ。
    1. [初出の実例]「六法のふりだし天上天外唯我どくそんとは此人なるべし」(出典:評判記・野郎立役舞台大鏡(1687)嵐三右衛門)
  6. 歌舞伎の大道具の一つ。回して樹木を舞台の方へ向けるしかけ。人をのせて出すことが多い。
    1. [初出の実例]「左右の柱紅葉の大樹のふり出し、水引一ぱいに紅葉の釣枝下り」(出典:歌舞伎・名歌徳三舛玉垣(1801)四立)
  7. 手形・小切手を発行する行為。〔商法(明治三二年)(1899)四四五条〕
  8. 道中すごろくなどで、采(さい)をふり始める所。
    1. [初出の実例]「ふりだしの日本橋に鰹うりの絵のついてゐたことも」(出典:銀の匙(1913‐15)〈中勘助〉後)
  9. 転じて、物事の初め。出発点。でだし。
    1. [初出の実例]「振り出しは東京(とうけい)真中日本橋、斜めに富士を睨みて立つとき」(出典:当世商人気質(1886)〈饗庭篁村〉二)
  10. 千社札(せんじゃふだ)を貼るときに用いるつぎ竿(ざお)

ふり‐で【振出】

  1. 〘 名詞 〙(べに)を水に振りだして染めること。
    1. [初出の実例]「紅のふりでの色の岡つつじ妹がま袖にあやまたれつつ〈藤原仲実〉」(出典:永久百首(1116)春)

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