知恵蔵 の解説
政治分野における男女共同参画推進法
法律では、国や自治体における政策の立案や決定に、男女が共同して参画する機会が確保されることが、「多様な国民の意見が的確に反映されるために一層重要」と意義付けた。その上で、政党・政治団体には男女の候補者数の目標を定めるなど「自主的に取り組むよう努める」と規定している。国や自治体には実態調査や啓発活動、環境整備、人材育成などに取り組むよう求めている。ただし、罰則は設けていない。
15年から自民党や公明党、民進党など超党派の議員連盟が法案の共同提出を目指していたが、候補者の男女の比率をどう表現するかで政党間で意見が分かれた。民進など野党4党は16年5月に「同数」と明記した法案を、自民、公明、維新の3党は同年12月に「均等」とした法案を提出した。17年2月、全党が「できる限り均等」と明記することで合意。既に提出していた二つの法案を取り下げて、新たな法案を提出した。法案は17年の通常国会で成立する見通しだったが、秋の衆議院解散で廃案となり、18年4月に再提出された。
18年6月現在、日本の国会議員の女性比率は、衆議院10.1%(47人)、参議院20.7%(50人)。世界各国の議会でつくる列国議会同盟が同年4月1日時点でまとめた下院など(日本は衆議院)における女性割合の順位では、日本は193カ国中158位だった。地方議会で女性議員が占める割合も低く、女性議員がゼロの地方議会もある。
日本の法律は政党などに努力を求めているが、00年に「候補者男女同数法」(パリテ法)が成立したフランスでは、男女同数の候補者を擁立することを政党に義務付けた。15年からは、県議会議員選挙で男女がペアで立候補する仕組みが導入されている。また、政治分野での男女平等を進めるため、候補者数や議席数の一定割合を、あらかじめ男女に割り当てるといった「クオータ」(割り当て)の仕組みを採用している国や地域もある。
(南 文枝 ライター/2018年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報