慶長六年(一六〇一)の「田辺
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
魚問屋から漁業経営の仕入金を前借りし,その代り漁獲物はその魚問屋に売り渡す契約をしている漁村を,その魚問屋の敷浦,仕入浜(しいれはま),持浜(もちはま)などといった。漁業経営においては早くから漁網など大規模な漁具を使用するものが少なくなく,多額の仕入金を必要とするものが多かった。それに年々の豊漁不漁の差が大きく,仕入金を自己資金でまかないきれない場合が発生しやすかった。他方,魚問屋の方でも業者相互間の漁獲物獲得競争のなかで,できるだけ安い魚を安定的に確保していく必要から,仕入金の前貸しを考えざるをえない場合が少なくなかった。そこで仕入金の前借りと漁獲物を安く売り渡すという魚問屋仕込制度が江戸時代中期から広くみられるようになり,幕末から明治期には全国的に一般化していた。
執筆者:二野瓶 徳夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報