斧鉞(読み)フエツ

デジタル大辞泉 「斧鉞」の意味・読み・例文・類語

ふ‐えつ〔‐ヱツ〕【××鉞/××鉞】

おのと、まさかり
文章に手を入れて直すこと。添削。「―を加える」
1が、軍中での極刑の具であったところから》重い刑罰重刑。「―のちゅう
昔、中国刑具君主出征する将軍統率しるしとして渡したもの。転じて、兵器、また征伐をいう。

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精選版 日本国語大辞典 「斧鉞」の意味・読み・例文・類語

ふ‐えつ‥ヱツ【斧鉞・&JISEF43;鉞】

  1. 〘 名詞 〙
  2. おのとまさかり。
    1. [初出の実例]「柄は、斧鉞の柄也」(出典:中華若木詩抄(1520頃)中)
  3. 昔中国で、天子から諸侯生殺の権のしるしとして、また、出征の将軍に兵士を統率するしるしとして与えられたもの。転じて、兵器。また、征伐をいう。
    1. [初出の実例]「義貞今臣たる道を尽ん為に、斧鉞(フヱツ)を把て敵陣に臨む」(出典:太平記(14C後)一〇)
    2. [その他の文献]〔荀子‐楽論〕
  4. ( が軍中での極刑具であったところから ) 重刑。重い刑罰。
    1. [初出の実例]「身鈇鉞(フエツ)の罪に当る事を恐る」(出典:太平記(14C後)三七)
    2. [その他の文献]〔礼記‐中庸〕
  5. 手を入れてなおすこと。文章の詩句をけずること。添削。
    1. [初出の実例]「文字を識る四五人の故旧が来て、胥議(あひぎ)して斧鉞(フヱツ)を加へた」(出典:渋江抽斎(1916)〈森鴎外〉六八)

おの‐まさかりをの‥【斧鉞】

  1. 〘 名詞 〙(おの)と鉞(まさかり)。古く誅罰(ちゅうばつ)、また、それを行なう者の印とした。
    1. [初出の実例]「羽田公八国(はたのきみやくに)・其の子大人(うし)等、己が族を率て来降ひまつる。因りて斧鉞(ヲノマサカリ)を授けて、将軍に拝す」(出典:日本書紀(720)天武元年七月(北野本訓))

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普及版 字通 「斧鉞」の読み・字形・画数・意味

【斧鉞】ふえつ(ゑつ)

おのと、まさかり。刑罰。〔左伝、昭四年〕齊の慶封を執(とら)へ、~將(まさ)に戮(りく)せんとす。~王、之れに斧鉞をはしめ、以て侯に徇(とな)ふ。

字通「斧」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の斧鉞の言及

【旗】より

… ところで陣容の整い秩序だった軍隊を表現して〈正々の旗,堂々の陣〉といい,また《孫臏(そんぴん)兵法》が,軍陣の威武を示すものは旌旗と武器であるというように,旗による秩序づけ,意志結集,作戦伝達の信号の機能が端的に作用したのは,戦争においてであった。《淮南子(えなんじ)》兵略訓によれば,戦争が起こると,国君は将軍を召して君命を与え,出陣の儀式をとり行って旗鼓と斧鉞(ふえつ)を授ける。将軍は戦車に旌旗と斧鉞をたて出陣する。…

※「斧鉞」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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