新プラトン学派(読み)シンプラトンガクハ(その他表記)neo-Platonistic school

デジタル大辞泉 「新プラトン学派」の意味・読み・例文・類語

しん‐プラトンがくは【新プラトン学派】

プロティノス、およびその学統を継ぐ、3世紀ごろから6世紀にかけて栄えた古代ギリシャ哲学最後の学派プラトン思想を継承しているが、アリストテレス学派・ストア学派・新ピタゴラス学派などの諸思想をも受容し、神秘主義的な学説を展開した。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「新プラトン学派」の意味・読み・例文・類語

しん‐プラトンがくは【新プラトン学派】

  1. 〘 名詞 〙 ( プラトンはPlatōn ) 三世紀頃から、ローマアレクサンドリアなどを中心に現われたギリシア哲学一派。プロティノスの哲学を基礎に、プラトンの二元論を神秘主義的に解釈した。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「新プラトン学派」の意味・わかりやすい解説

新プラトン学派
しんぷらとんがくは
neo-Platonistic school

プラトンの哲学をもとに自らの体系をつくりあげた、古代ギリシア最後の大哲学者プロティノス(3世紀)、およびその学統を継ぐ派をいう。彼の弟子ポルピリオス、その弟子のヤンブリコスアテネプルタルコスに始まり、プロクロスを頂点としてダマスキオスに終わる新アカデメイアの人々(529年まで)、シンプリキオス、オリンピオドロス、ピロポノスらのアレクサンドリア学派(624年まで)、キリスト教徒となったボエティウスらがこの派に属する。

 プロティノスは語られえない「一」から世界が「流出」するとし、「脱我」によりこの一者と合一すべきであると説くが、この思想が、神秘主義の哲学および神学として継承され、キリスト教神学の形成発展に重要な役割を果たした。それはまた、長い間正統のプラトン主義哲学と考えられ、ルネサンスフィチーノや17世紀のケンブリッジ・プラトン学派に至るまで、大きな影響を及ぼした。

[田中享英]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android