新型うつ病(読み)しんがたうつびょう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「新型うつ病」の意味・わかりやすい解説

新型うつ病
しんがたうつびょう

若い人に多い、軽いうつ状態、無気力症状を示す非定型うつ病一種で、従来のうつ病(定型うつ病)と区別するための表現。一部の精神科医やメディアが多用している。多くは仕事がらみのストレスから発症する。仕事に向かうと症状が悪化、再発するのに、遊びや趣味は楽しめる、自己愛が強く、何でも他人のせいにするといった性格が多い、などの特徴がある。精神科や心療内科は比較的簡単に「抑うつ状態」の診断書を出し、病気休暇を認めることから職場メンタルヘルスの重要課題にもなっている。休職期間に海外旅行を楽しみ、帰国するともとに戻る、などの事例から仮病と疑われ職場とのトラブルとなることも少なくない。

 日本うつ病学会は病気とは認めておらず、主流の精神科医は「未成熟な青年の職場不適応」「甘えによる擬態うつ病」などとみている。自己中心的な性格の人が、競争激化など職場環境の変化についていけず、「仕事が自分にあわない」と感じることからくるうつ的な状態、とみる考えの人もいる。いずれにせよ、抗うつ剤による従来のうつ病治療の効果は期待できない。産業医や産業看護師らも交え、本人の意見や希望を聞き取り、発症の原因が職場環境のどれにあるかをつきとめ、改善が可能かどうか、復職ができるかどうかを検討し、判断する。

 一方で、多くは首こりが原因の自律神経失調症頸筋(けいきん)症候群)が重症化した病気、との見方もある。東京脳神経センター理事長(脳神経外科)の松井孝嘉(たかよし)が指摘しているもので、首こりはパソコンや携帯電話、運転や決まった作業など前かがみ姿勢を長く続けることから起きる。首こりを治すことで新型うつ病に対処できるとしている。

田辺 功]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

人事労務用語辞典 「新型うつ病」の解説

新型うつ病

従来型の典型的なうつ病とは印象が違う、新しいタイプのうつ病のこと。仕事中だけうつで、職場を離れると活動的になるなど自己中心的に映るため、周囲が対応に苦慮する場合も少なくありません。
(2008/10/20掲載)

出典 『日本の人事部』人事労務用語辞典について 情報

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