心の健康のこと。メンタルヘルスケアは、具体的には、精神的な疲労やストレスを減らし、うつ病などの精神疾患の予防、さらには早期治療による改善から、よりよい心の状態作りまでを意味している。
現代の職場、学校、地域社会はストレスが多く、とくに職場では半数以上が強いストレスを感じており、心の健康が損なわれやすく、年々、うつ病などの精神疾患や自殺などで労働災害と認められるケースが増えている。現に中小企業が加入する全国健康保険協会の2011年(平成23)の傷病手当金では、精神疾患がトップで26%。癌(がん)19%、循環器の疾患11%を大きく上回った。2008年の労働契約法で企業は労働者の「安全配慮義務」を義務づけられ、メンタルヘルスが重要な課題になってきた。
そこで厚生労働省は2010年「職場における心の健康づくり」の指針を公表した。健康を保つため、睡眠や休息、労働、遊びなどのバランスをとることが必要だが、第一に本人が気をつけるセルフケア、その次に管理職が対応するラインケア、産業医、保健師などの企業内専門スタッフによるケア、地域保健機関、医療機関などの外部専門家によるケアの順で対応する。研修や職場環境の改善などが重要である。また、学校でのメンタルヘルスには1995年度(平成7)から文部科学省がスクールカウンセラーを導入、段階的に広げている。
[田辺 功]
(桑原靖夫 獨協大学名誉教授 / 2007年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報
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