新温泉(町)(読み)しんおんせん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「新温泉(町)」の意味・わかりやすい解説

新温泉(町)
しんおんせん

兵庫県北西部、美方郡(みかたぐん)にある町。日本海に臨み、西部を鳥取県と接する。2005年(平成17)、同郡浜坂町(はまさかちょう)、温泉町が合併して成立。南部にそびえる扇ノ山(おうぎのせん)(1310メートル)に源を発した岸田(きしだ)川が、町域を貫流して日本海に注ぐ。岸田川の本支流沿いの狭小な平地に耕地と集落が形成され、中心の浜坂市街は同川河口部の沖積地に発達。ほかは播但(ばんたん)山地の山々が連なり、南部の山間部では、冬季の積雪も多い。山陰海岸国立公園、氷ノ山後山那岐山(ひょうのせんうしろやまなぎさん)国定公園、但馬山岳(たじまさんがく)県立自然公園など、自然公園指定区域が町域の45%以上を占める。JR山陰本線、国道9号、178号が通じる。海岸沿いには浜坂港や、江戸時代に北前船の風待ち湊としてにぎわった諸寄(もろよせ)港など、漁港が多く、底引網、沖合イカ釣り漁業などが行われ、ズワイガニマツバガニ)の水揚げも多い。日本海の荒波によって侵食された断崖絶壁岩礁が連続する但馬御火浦(たじまみほのうら)は国の名勝・天然記念物。旧温泉町地区は但馬牛の産地として知られる。湯村温泉(ゆむらおんせん)は古代には温泉郷(ゆのごう)、中世には温泉荘(ゆのしょう)とよばれたほど歴史は古く、県立但馬牧場公園(冬季はスキー場)、国民保養温泉地に指定される新興浜坂温泉郷などとともに観光の中心。浜坂の縫い針製造は200年の伝統をもつ。第二次世界大戦後、主力ミシン針レコード針に移り、一時は世界のレコード針生産の6割を占めた。相応峰寺(そうおうみねじ)の木造十一面観音菩薩立像は国指定重要文化財。久谷(くたに)地区で端午節句に行われてきた但馬久谷の菖蒲綱引き(現在は6月5日)は国指定重要無形民俗文化財。面積241.01平方キロメートル、人口1万3318(2020)。

[編集部]


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