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ズワイガニ Chionoecetes opilio

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ズワイガニ
Chionoecetes opilio

軟甲綱十脚目ケセンガニ科。水産業上の重要種で,鳥取県島根県ではマツバガニ福井県近辺ではエチゼンガニと呼ぶ。そのほかにも多くの地方名があり,雌を呼ぶコウバコガニやセイコガニなどがよく知られている。甲幅は雄 15cm,雌 7~8cm。雌は性的に成熟すると一年中抱卵し,幼生を放したあとにすぐ次回の産卵をするため成長が止まる。甲は丸みのある三角形であまり硬くない。歩脚は扁平で,大型個体では左右に広げると 70~80cmに達する。福井県,石川県,島根県,鳥取県の各県が産地として有名で,11月~3月に水深 150~200mの海底で漁獲する。雌 1尾の産卵数は 6万粒ほど。親ガニになるまでに約 10年を要し,漁獲が許可される甲幅 9cmに達する。その後,4年ほど生きる。寒海系のカニで,日本海側では朝鮮海峡まで,太平洋側では千葉県銚子沖まで南下しており,北はオホーツク海ベーリング海を経てアメリカ合衆国アラスカ州カリフォルニア州沿岸まで分布している。また大西洋北部にも分布しているが,太平洋産個体群との異同は明らかでない。近縁種で鮮やかな紅赤色のベニズワイガニ Ch. japonicus は日本海の水深 400~2000mに生息するが,本種に比べて味が劣る。アラスカ州のブリストル湾に多産するオオズワイガニ Ch. bairdi は,北洋漁業の重要な資源となっており,バルダイの名で多量に輸入されている。この種は近年北海道南部でも漁獲されている。ズワイガニよりも大きく,甲幅がやや広い。(→甲殻類十脚類節足動物軟甲類

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百科事典マイペディアの解説

ズワイガニ

甲殻類クモガニ科のカニ。エチゼンガニ,また島根・鳥取地方でマツバガニともいう。雄は甲長13cm,甲幅15cmほどに達する。雌は雄の2分の1以下の大きさで,セイコ(抱卵雌)またはコウバコ(雌)の別名がある。
→関連項目カニ(蟹)マツバガニ

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栄養・生化学辞典の解説

ズワイガニ

 [Chionoecetes opilio].エビ目カニ下目ズワイガニ属の大型のカニ.松葉ガニ,越前ガニともいわれる.食用にする.

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世界大百科事典 第2版の解説

ズワイガニ【Chionoecetes opilio】

甲殻綱クモガニ科のカニで,水産上の重要種(イラスト)。鳥取・島根両県をはじめ各地でマツバガニと呼ぶが,イソオウギガニ科にマツバガニの和名のついた別種のカニがいる。福井県近辺ではエチゼンガニと呼ぶ。その他種々の呼名があり,例えば,石川県では雌をコウバコ,福井県では抱卵雌をセイコ,小型の雌をゼンマル,幼ガニをモサ,脱皮後の軟らかいものをワタと呼ぶ。雄は甲幅15cmに達するが,雌は8cmほどになって性的に成熟すると1年間抱卵し,ゾエア幼生を放した後にすぐまた抱卵するため,脱皮ができず成長がとまる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ズワイガニ
ずわいがに
snow crabqueen crab
[学]Chionoecetes opilio

節足動物門甲殻綱十脚(じっきゃく)目クモガニ科に属するカニ。食用ガニで水産業上の重要種である。古くから人々との生活と密接な関係にあったため地方名が多い。東京地方や大阪地方などの消費地では主産地名をとったエチゼンガニ(越前蟹)、あるいは山陰地方の呼び名であるマツバガニ(松葉蟹)の名が通りがよい。ズワイガニの語源は明らかでない。各地でズワイとよぶのは大形雄に対してであることを考えると、「ズ」は頭で、カニの王者の意味ではないかとされる。東北地方の日本海側ではズワイガニのことをタラバガニとよび、本当のタラバガニをイバラガニとよぶことがあるので注意を要する。雌に対してはセイコとかセコという地方が多いが、メガニ、コモチ、コウバクガニなどともよばれる。成体になった雌は一年中抱卵し、幼生を放ったのちにふたたびすぐ抱卵する。すなわち、雌はつねに抱卵しているが、セイコまたはセコは抱卵雌の総称で、発生初期の橙(だいだい)色の卵をもつものをアカコ、黒褐色の発眼卵をもつものをクロコと呼び分けることもある。腹部がまだ完全には広がっていない幼ガニをゼンマル、脱皮間近の二重の甲をもつものをフタカワガニ、フタヨガニ、ニマイガニなどとよび、脱皮後の軟らかいものをワタガニとよぶ。
 甲の輪郭は丸みを帯びた三角形で、甲はあまり硬くない。雄は甲幅18センチメートル、歩脚を広げると80センチメートルに達するが、雌は7~8センチメートルになって性的に成熟すると成長が止まる。日本海全域、オホーツク海を経てアラスカまでの水深70~500メートルに分布するが、日本近海のものでは第1歩脚の長節の長さと幅の比が5.5~6.3、北東太平洋のものでは4.9~5.2といわれる。すなわち、北西太平洋のものは歩脚がやや長いということで亜種Ch. opilio elongatusの学名が使われることもある。
 日本近海には紅赤色のベニズワイガニCh. japonicusが分布している。ズワイガニより深い水深400~2000メートルにすみ、多産するが、肉質が劣る。近年、両種の雑種が得られ話題となっている。ブリストル湾とその近海にはオオズワイガニCh. bairdiやキタズワイガニCh. tanneriが多産し、北洋漁業の貴重な資源となっている。[武田正倫]

漁業

世界のカニの漁獲量約134万0432トン(2007)のうち、ズワイガニ属のカニ類はワタリガニ科のカニ類に次いで多い。日本でもベニズワイガニとズワイガニがそれぞれ1、2位を占めているが、減少傾向にある。主漁場はカナダの東岸沖、セント・ローレンス湾、ハドソン湾、ベーリング海の東部・西部、アラスカ西岸沖、オホーツク海および日本海である。その深度は70~200メートルである。ただし、日本海ではズワイガニで200~450メートル、ベニズワイガニでは1200~1500メートルが普通になってきている。主漁具は籠(かご)で、それには入ったカニが出にくいように落とし口がつけてある。ほかに日本海のベニズワイガニのように袋状の網を海底沿いに引く底引網、あるいは網にカニを絡めて漁獲する底刺網類も用いられる。ズワイガニは美味で、乱獲されやすく、しかも成長が遅いために、減少した資源は容易に回復しない。したがって、籠の改良によって雌ガニ、子ガニの混獲死亡を軽減し、資源の再生産力を有効に利用することが望ましい。[笹川康雄・三浦汀介]
『FAOFAO YearbookFishery and Aquaculture Statistics(2008)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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