江戸幕府番方(番方・役方)の職制。1643年(寛永20)創置。五番方の一つ。当初は近習番と称したともいう。土圭間番(とけいのまばん)も別称というが,本来別個のものといえようか。《落穂集》の記事によると,大奥の女中の願いにより,その縁者が召し出されて,新たにつくられたものという。しかし,この説は後年のいくつかの事例に基づいたものと推測され,実際には大番,小十人の両組から選抜された組衆によって成立したものであった。定数は8組(ときに増加あり)。各組に番頭1人(若年寄支配,役高2000石,役料なし,布衣,中之間詰),組頭1人(頭支配,役高600石,御目見以上,桔梗間詰),組衆20人(頭支配,役高250俵,御目見以上)があった。1866年(慶応2)廃止となる。番頭・組頭は勤仕並寄合,組衆のうち壮年の者は遊撃隊,そのほかの者は銃隊に編入された。日ごろ,殿中の新番所に勤番し,将軍出行の際には前駆を任務とした。また城中紅葉山霊屋の参詣,吹上御成のときは,将軍の近辺を警護し,鷹狩りにも供奉した。
執筆者:北原 章男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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